早産の赤ちゃんの特徴は?
妊娠22週から妊娠36週6日までに出産に至った赤ちゃんのことを
1. 早産児、低出生体重児とは?
妊娠22週0日から妊娠36週6日までの間に出産に至った赤ちゃんを早産児といいます。
生まれたときの体重(出生体重)が2,500g未満の赤ちゃんのことを
厚生労働省の人口動態調査によれば、平成28年に早産児の割合は5.5%。低出生体重児の割合は男児で8.3%、女児で10.6%となっています。
2. 早産となった赤ちゃんの生存率はどのくらい?
日本は世界でも最も新生児死亡率(生後4週未満の死亡の割合)が低い国の1つです。新生児死亡率は1000人あたり0.9人となっています。
厚生労働省が公開している「低出生体重児保健指導マニュアル」によれば、2003年から2007年出生の在胎週数別早産児のNICU退院時点での生存率は表のとおりでした。
在胎週数 | NICU退院時点での生存率 |
22週から23週 | 54.9% |
24週から25週 | 82.1% |
26週から27週 | 90.9% |
28週から29週 | 95.6% |
30週から31週 | 96.5% |
出生時の体重別では表のとおりでした。
出生体重 | NICU退院時点での生存率 |
500g以下 | 50.0% |
501gから750g | 78.9% |
751gから1000g | 96.6% |
3. 早産の赤ちゃんの特徴は?
赤ちゃんはお母さんのお腹の中で正期産になるまで徐々に成長を遂げていきます。そのため、早産となった赤ちゃんは出産時点での在胎週数(お腹の中で妊娠何週まで過ごすことができたか)によってその特徴が異なります。生まれてきたときの状態などによって異なることもありますが、一般的な特徴を以下に記載します。
妊娠22週0日から妊娠27週6日までの赤ちゃん
妊娠28週未満で出産された赤ちゃんは生命の維持に必要な器官がまだ未熟な状況でありNICU(新生児集中治療室)での集中的な管理が必要になります。赤ちゃんは保育器の中に入ります。体温の管理や人工呼吸器による呼吸のサポート、心拍や血圧のモニタリング、点滴治療、
発達の障害を
しかし、これらの発達の障害は、
妊娠28週0日から妊娠33週6日までの赤ちゃん
出生体重が1,000g以上になると、3歳までの死亡率は3.4%とかなり低くなります。しかし、出生直後は集中治療が必要になる場合が多く、NICU(新生児集中治療室)での管理が必要になります。妊娠34週未満の場合には赤ちゃんの肺の成長が未熟であるために呼吸窮迫症候群や
妊娠34週を過ぎて体重が2,000gほどになると体温を維持する機能や母乳やミルクを哺乳する力もついてくるとされています。発達の障害に関しては妊娠28週未満に比較して障害が現れる割合は少なくなります。病院での観察を続けます。
妊娠34週0日から妊娠36週6日までの赤ちゃん
正期産に近い早産であってもいくらかのリスクが指摘されています。妊娠37週0日以降の赤ちゃんに比べると呼吸障害や母乳の飲みが悪い(哺乳障害)、病的
参考文献
・Pediatrics. 2009 Apr;123(4):e622-9.
4.早産の赤ちゃんに起こりやすい病気は?
早産の赤ちゃんは、妊娠37週0日以降に比べるとさまざまな病気が起こりやすい状況にあります。下記に頻度の多い代表的な疾患を記載します。
新生児呼吸窮迫症候群(RDS)
特に34週0日未満で出生した赤ちゃんは、肺サーファクタントという肺をふくらませる物質が不足していることから、新生児呼吸窮迫症候群を起こしやすくなります。新生児呼吸窮迫症候群は出生直後に、
未熟児無呼吸発作
20秒以上持続する呼吸停止もしくは20秒未満であっても
新生児壊死性腸炎(NEC)
腸管が未熟であるために血液の流れが障害され、それに細菌の感染が加わって起こる病気です。低出生体重児に起こりやすいといわれ、新生児壊死性腸炎になった赤ちゃんの内の80%は1,500g未満の赤ちゃんです。ミルクや母乳を飲み始めて5日から6日頃に起こることが多く、お腹が張る、嘔吐、母乳やミルクの消化が悪い、飲みが悪くなる、活気がないことなどの
動脈管開存症(PDA)
赤ちゃんの
治療としては動脈管の収縮を促すための薬物療法や手術が行われます。
脳室内出血
脳の中には
出生体重が1,500g未満の極低出生体重児は生後数時間から数日の早期に脳室内出血が起こりやすいといわれています。けいれんや呼吸停止、
症状に合わせた薬物療法や手術を行う場合があります。
脳室周囲白質軟化症
4か所の脳室のうち側脳室に面して血管分布が乏しい領域があります。その部分が血流の悪化によって障害されることで脳室周囲白質軟化症が現れます。運動機能に影響がでるなどの症状を来す場合があります。出生体重が1,500g未満の極低出生体重児の5%から7%に脳室周囲白質軟化症が現れ、脳性麻痺の赤ちゃんの約1/3が脳室周囲白質軟化症が原因とされています。
未熟児網膜症(ROP)
出生時の網膜の発達が不十分であることが原因で、網膜の発達に異常があることを未熟児網膜症といいます。早産児、特に妊娠32週未満では未熟児網膜症が多いとされます。妊娠週数が短く、出生時の体重が軽いほど起こりやすいといわれています。赤ちゃんは自身の視力を訴えることができないため、早産の場合には定期的に検査を行っていきます。軽症の場合は自然に