そけいへるにあ
鼠径ヘルニア(総論)
腹部の臓器(主に腸)が、太ももの付け根の内側から、皮膚のすぐ裏側まで出てきた状態。飛び出し方により分類される
5人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2021.03.31

鼠径ヘルニア(脱腸)の症状について

鼠径ヘルニアの主な症状は足の付け根の膨らみです。違和感や痛みがある人もいます。また、鼠径ヘルニアは「嵌頓(かんとん)」という危険な状態になることがあります。嵌頓を起こした鼠径ヘルニアは緊急で治療をしなければならないので、ここで説明する症状を必ず頭に入れておくようにしてください。

1. 主な鼠径ヘルニアの症状について:膨らみや痛み

鼠径ヘルニアの特徴的な症状は足の付け根の膨らみです。重いものを持ったときや夜間に膨らみが大きくなることがあります。痛みがある場合とない場合がありますが、あったとしても突っ張り感や違和感に近いものです。また、腸がお腹の中から飛び出している影響で、腸の動きが悪くなり便秘を起こすこともあります。

2. 危険なヘルニアの症状について:鼠径ヘルニアが嵌頓(かんとん)した場合の症状

鼠径ヘルニアがあっても、膨らみや違和感だけであれば、あわてて受診する必要はありません。しかし、鼠径ヘルニアが嵌頓を起こした場合は一刻も早い治療が必要です。鼠径ヘルニアの嵌頓とは、腹壁に開いた穴から飛び出したヘルニアの中身(腸や腸間膜など)が締め付けられてしまうことです。締め付けられると腸や腸間膜の血流が低下し、数時間で腸が壊死(臓器が機能を失うこと)してしまうのです。

【鼠径ヘルニアの嵌頓が疑われる症状】

  • 激しい腹痛
  • 膨らみの変化
    • 膨らみが大きくなる
    • 膨らみが赤くなる
  • 腹部膨満
  • 嘔吐

嵌頓は予兆なく起こることがあるので、鼠径ヘルニアがある人は上記の症状を頭に入れておいてください。特に、上のリストの中でも「激しい腹痛」や「膨らみの変化」がある場合はかなり疑わしくなります。これらの症状に当てはまった場合はただちに医療機関を受診してください。

参考文献

日本ヘルニア学会 ガイドライン委員会/編, 「鼠径部ヘルニア 診療ガイドライン2015」, 金原出版