ほうけい
包茎
亀頭が包皮に覆われている状態。包皮をめくることが可能かどうかで真性包茎と仮性包茎に分けられる
5人の医師がチェック 60回の改訂 最終更新: 2022.02.09

人には聞きづらい包茎で知っておきたいこと

包茎はデリケートな問題なので、人に相談しづらいですし、病院に行くのも勇気がいります。ここでは包茎の人が知っておいた方がよいことや、手術を受ける前に知っておきたいことをまとめました。

1. 包茎で知っておきたいこと

包茎は人に相談しづらいことです。このため、誤った知識や偏見をもってしまっている人がいます。ここでは包茎の人が知っておきたい正確な情報を説明します。

治療が必要な包茎とは

包茎の人で治療が必要な人は限られています。治療が必要な人について説明する前に、まず包茎には種類があることを説明します。包茎の種類は仮性包茎、真性包茎、嵌頓包茎の3つです。

それぞれを簡単に説明すると次のようになります。

■仮性包茎

仮性包茎は普段包皮によって亀頭が被われているのですが、手で包皮をむいて亀頭を露出することができます。仮性包茎の人に問題が起こることはほとんどありません。

■真性包茎

真性包茎は陰茎全体を包皮が覆っており、手で包皮をむいて亀頭を露出できない状態のことです。生まれたときにはほぼ全員が真性包茎ですが、成長とともに陰茎が大きくなり包皮との癒着がとれるので、真性包茎の人は少なくなります。

■嵌頓包茎(かんとんほうけい)

嵌頓包茎は包皮が陰茎を締めてつけてしまった状態です。真性包茎や仮性包茎の人が無理に包皮をめくろうとしたときに起こることが多いです。嵌頓包茎はそのまま放っておくと包皮の浮腫がひどくなって陰茎への締め付けがきつくなります。この状態が続くと陰茎に大きなダメージが残ってしまうことがあり、性交や排尿に影響を及ぼすこともあります。

■どのタイプの包茎に治療が必要なのか

包茎のなかで絶対治療をしなければいけない人は、嵌頓包茎の人です。

繰り返しになりますが、嵌頓包茎は包皮が陰茎を締め付けてしまった状態で、陰茎の締め付けを解除しないと陰茎にダメージが残り、性交や排尿に障害が出ることがあります。陰茎へのダメージを防ぐために早めに手を打たなければなりません。 仮性包茎の人は治療の必要はなく、どうしても見た目が気になる人には治療が検討されます。

真性包茎の人は亀頭が露出していないために不潔になりやすく、亀頭包皮炎が起きやすいです。亀頭包皮炎を繰り返す場合には包茎の治療が検討されます。また排尿に影響を及ぼすこともあり、「尿がうまく出せない」「尿が飛び散る」などの症状がある場合には治療を検討することがあります。 このように包茎で治療が必要な人は嵌頓包茎の人と一部の真性包茎の人だけで、ほとんどの人は必要ありません。

包茎は自分で治すことができるのか

少しずつ包皮をむくことによって、自然に亀頭を露出させられることがあります。

ただし、無理は禁物です。

無理に包皮をむこうとすると、陰茎と癒着している部分から出血することもありますし、包皮を剥がしすぎて元に戻らず嵌頓包茎になってしまうこともあります。嵌頓包茎になると、陰茎が時間とともに締め付けられて、後遺症が残るほどのダメージを受けることもあるので注意が必要です。

自分で治そうとする前に、できれば泌尿器科を受診して相談してください。自分で少しずつ包皮をむいて治してもよい状態なのか、あるいは手術が必要なのかを見てもらうほうがよいでしょう。包茎は人には打ち明けづらいですし、お医者さんにかかるのも勇気がいると思います。しかし、きちんと治すためにははじめが肝心です。どのような方法が自分に適しているかを知ることから始めてください。

2. 包茎の手術を受ける前に知っておきたいこと

手術を受けるとなると、みな不安を抱きます。ここでは包茎の手術の内容以外の、知っておくと得する情報についてまとめました。不安の解消に役立ててください。

手術は本当に必要かを今一度考える

包茎の人で本当に治療が必要な人は少ないです。嵌頓包茎や一部の真性包茎の人は治療が必要になりますが、仮性包茎の人に問題が起こることはほとんどなく、手術をしなければならないことはまれです。実際に仮性包茎の人は多いですし、珍しくもありません。

仮性包茎の人が手術をしたいと考えた場合は、すぐに決断するのではなく、まずお医者さんに自分の悩みを打ち明けて、話を聞いてもらってください。そのうえで手術が必要かどうかを慎重に判断するようにしてください。

また、医療機関のなかには「受診をしたその日に手術をせまる」、「高額な治療費の請求をする」といったクリニックもあり、国民生活センターによると多くのトラブルが報告されています。くれぐれも手術の前には十分な相談をする、という姿勢を忘れないようにしてください。

包茎の手術の費用

包茎の種類によって治療費は異なります。

真性包茎の人と嵌頓包茎の人は保険が適用されますが、仮性包茎の人には保険が適用されません。つまり仮性包茎の人は治療費の全額を自己負担しなければならず、治療費も医療機関によって幅があります。国民生活センターの報告によると、仮性包茎の手術は高額な治療費を請求されるトラブルも多数報告されています。包茎で手術を受ける前には必ず負担額について確認するようにしてください。

包茎の手術は日帰りでできるのか

包茎の手術は日帰りでできます。

日帰り手術が可能な条件として、身体への負担が小さい、局所麻酔で行えるなどがありますが、包茎の手術はいずれも満たしています。

日帰り手術のメリットは、慣れた家で過ごせる、好きなものを食べられるなど、比較的制約が少ないなかで術後の生活を送れることです。一方で、術後の傷口の管理は自分でする必要があります。手術の後には傷に負担をかけないようにすることが大切です。具体的に言うと、勃起をさけるようにしてください。勃起をすると出血したり痛みが強くなったりするので、自慰行為や性的興奮はさけるようにしてください。日帰り手術を受けた後には、医療スタッフから日常生活で注意するポイントの説明があります。よく聞いて守るようにしてください。

包茎の手術は痛いのか

痛みの感じ方には個人差があるので、一概には言えません。

包茎の手術は傷も大きくはないので、お腹や胸を開く手術に比べると痛みは小さいと考えられます。また、手術は局所麻酔で行われますが、痛みを感じた場合には麻酔薬を追加したりなどして痛みを和らげてもらえます。痛みに関してはあまり心配になりすぎる必要はありません。

包茎の手術後に注意すること

包茎の手術は外来で行われることが多いので、手術後は自宅で過ごすことになります。このため、手術後の異常には自分で気づく必要があります。

手術後に注意が必要なのは出血です。

手術では最後にしっかりと止血をしますが、自宅に帰ってから出血をすることがあります。出血は少量なら問題はありませんが、量が多くなると尿のとおりに影響することもあり注意が必要です。手術後は数時間おきに傷を観察して、出血が起きていないかを確認するようにしてください。傷を保護する包帯に少し血がにじむ程度は問題はありませんが、「縫った部分が腫れる」「皮膚が変色する」「包帯の交換が必要なほどの血がにじむ」場合は再出血している能性があります。治療を受けた病院に連絡して傷の状態を見てもらうようにしてください。