とうにょうびょうせいにゅーろぱちー(とうにょうびょうせいしんけいしょうがい)
糖尿病性ニューロパチー(糖尿病性神経障害)
糖尿病が原因で起こる神経障害のこと
6人の医師がチェック
82回の改訂
最終更新: 2022.02.25
糖尿病性ニューロパチー(糖尿病性神経障害)の基礎知識
POINT 糖尿病性ニューロパチー(糖尿病性神経障害)とは
糖尿病の治療がされていない状態、あるいは治療がうまくいっていない状態が年単位で続くと、糖尿病性ニューロパチー(神経障害)、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの合併症を起こしてきます。これら3つの合併症を糖尿病の3大合併症といいます。網膜症や腎症は5年、10年と時間をかけて進行することが多いですが、ニューロパチーはもう少し初期から症状が現れることが多いです。全身の様々な神経がダメージを受けることにより、手足の痺れや痛み、便秘や下痢、排尿障害、味覚障害、立ちくらみ、発汗の異常、勃起障害など様々な症状が出てきます。診断は糖尿病歴の確認と、他の神経障害を起こす病気が無さそうであることを確認することで行われます。症状を緩和するためには、糖尿病の治療、すなわち血糖値を良好な範囲にコントロールすることが最優先となります。手足の痺れや痛みが強い場合には、それらを緩和する飲み薬を使用することもあります。糖尿病性ニューロパチーが心配な方や治療したい方は糖尿病内科や一般内科を受診してください。
糖尿病性ニューロパチー(糖尿病性神経障害)について
糖尿病性ニューロパチー(糖尿病性神経障害)の症状
- 手足(特に足)の感覚の神経が障害されやすい
- しびれ、痛み、触られている感覚、感覚の鈍さなどが現れる
- 足先から起こりその後、手に起こることが多い
- 両側の手足の先の方から症状が出てくるため、「手袋靴下型」と呼ばれる
- 症状が進行すると手足の動かしにくさ(運動障害)が起こることもある
- 足の感覚が鈍り、足に小さな怪我をしても気づきにくくなる
- 糖尿病では感染に対する抵抗力も弱まるので、足の怪我から感染が広がり足壊疽を起こすことがある
- その他の神経障害
糖尿病性ニューロパチー(糖尿病性神経障害)の検査・診断
糖尿病性ニューロパチー(糖尿病性神経障害)の治療法
血糖 値を適切な範囲内に保つことが何よりも重要- 飲酒や喫煙も神経障害を進める可能性があるので禁酒、禁煙を心掛ける
- 薬物治療
- エパルレスタット(商品名:キネダックなど):手足のしびれを改善する薬
- 痛みを伴う場合は、以下のような薬剤の使用を検討する
- プレガバリン(商品名:リリカ)
- デュロキセチン(商品名:サインバルタ)
- メキシレチン
- 三環系抗うつ薬
- 抗けいれん薬 など
自律神経 障害に対してはそれぞれの症状についての対処療法を行う- 手先、足先の感覚障害は、早期にきちんと治療を行えば症状の改善が期待できる
糖尿病性ニューロパチー(糖尿病性神経障害)に関連する治療薬
プレガバリン(神経障害性疼痛治療薬)
- 過剰に興奮した神経を鎮め、神経が障害されることで引き起こされる痛みなどを緩和する薬
- 神経障害性疼痛は何らかの原因により神経が障害を受けて引き起こされる神経の痛み
- 神経細胞が興奮すると痛みを引き起こす神経伝達物質が過剰に放出され痛みが生じる
- 本剤は神経の興奮を抑え、神経伝達物質の過剰な放出を抑えることで鎮痛作用をあらわす
- 神経障害性疼痛の例
- 坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害など
- 線維筋痛症などに対しても使われることがある
アルドース還元酵素阻害薬
- 糖尿病性神経障害による手足のしびれや痛み、冷感などの症状を和らげる薬
- 糖尿病性神経障害はソルビトールという糖が神経細胞内に蓄積することなどでおこるとされる
- ソルビトールは体内でブドウ糖からアルドース還元酵素というものの働きによって生成される
- 本剤はアルドース還元酵素を阻害し、ソルビトール生成を抑える作用をもつ