突発性発疹はうつる?保育園や外出を休む期間と気を付けたい場面
突発性発疹はうつる病気です。5歳以下の子供に多く、赤ちゃんにもうつりますが、大人にはほとんどうつりません。いつまで保育園を休むべきか、感染を防ぐために何に気を付けるかを説明します。
1. 突発性発疹の感染力
もしこんなことがあったらと想像してみましょう。
3歳半の男の子、悠真くんが突発性発疹と診断されて家で寝ています。お母さんは看病しているうちにうつらないか心配しています。
保育園の友達がお見舞いに来ました。うつる心配はあるでしょうか?
突発性発疹(とっぱつせいほっしん)は、ほとんどの子供が一度はかかる病気です。発熱のあと
39度を超える高熱になることも多いので心配になりますが、熱は薬を使わなくても数日で下がり、安静にすれば自然に治ります。
子供の間では季節に関わらず年中誰かが突発性発疹にかかっています。うつる病気で、感染力は高いです。
突発性発疹のウイルスはどこにでもいる
突発性発疹の原因であるヒト
突発性発疹にかかった子供から周りの子供に広がることも、一見
5歳までにほとんどの人が感染する
突発性発疹のウイルスには、ほとんど全ての人が、小さい子供の時に一度は感染します。
血液検査を行い、ヒトヘルペスウイルス6の感染は、いつどのくらい起こっているのかを調べた研究があるのでご紹介します。
その研究(ヒトヘルペスウイルス6の感染に関する研究(英語))では、ヒトヘルペスウイルス6に感染すると体内で作られる
検査の結果、12−24ヶ月の子供のうち抗体を持っていたのは76.9%でした。
このデータを踏まえて、さらに5歳を超えた子供で突発性発疹はほとんど見られない状況を考えると、5歳までにほとんどの人はすでにヒトヘルペスウイルス6に感染していると推定できます。
同じ研究から、生まれてから9−21ヶ月の間に大半の子供が感染しているという結果も得られました。つまり突発性発疹は9ヶ月ぐらいの赤ちゃんにもよくある病気なのです。
参考文献
・Zerr DM, et al. A population-based study of primary human herpesvirus 6 infection. N Engl J Med. 2005 Feb 24;352(8):768-76.
突発性発疹は一度かかると抗体ができる
5歳までに大多数の人がヒトヘルペスウイルス6に感染し、抗体を持つことになります。ヒトヘルペスウイルス6は抗体がある人にはほとんど感染しないので、大人が突発性発疹にかかることはほとんどありません。
ヒトヘルペスウイルス7による場合に関しても、ほとんど全ての人が子供のうちに突発性発疹を経験すると考えられています。
つまり一度突発性発疹にかかれば同じウイルスで突発性発疹になることはまずないのですが、ウイルスが2種類いるので、違うウイルスに感染して2回目の突発性発疹にかかることはありえます。
子供にはうつさないよう気を付けて
最初の例で言うと、悠真くんからお母さんに感染する心配はありません。お見舞いに来た子は気を付けたほうがいいでしょう。感染予防策はこのページの最後で説明します。
2. 突発性発疹になりやすい人の特徴は?
突発性発疹は
病気で免疫不全があるとかかりやすい
突発性発疹の原因であるヒトヘルペスウイルス6やヒトヘルペスウイルス7は、一度感染するとその後も体に潜んでいることがあるのですが、免疫不全の状態になった人ではもともと潜んでいたウイルスが再び活動し、突発性発疹を起こすことが多いです。
3. 突発性発疹の潜伏期間
悠真くんが熱を出したときに、周りに似た症状のある子供はいませんでした。いつ、誰からうつったのでしょうか?
突発性発疹には
潜伏期間とは?
ウイルスに感染しても、すぐに病気になるわけではありません。ウイルスが身体の中に入ってから、増殖し、体にダメージを与えるようになるまでには時間がかかります。このため病気の症状が出るまでに時間差があります。感染してから症状が出るまでの期間を潜伏期間と言います。
突発性発疹の潜伏期間は不明
突発性発疹の原因のひとつであるヒトヘルペスウイルス6の潜伏期間は5日間から15日間と言われています。しかし、もう一つの原因ウイルスであるヒトヘルペスウイルス7の潜伏期間は未だにわかっていません。
このため、突発性発疹の症状が出たときに、感染したのがいつなのか正確にはわかりません。
また、潜伏期間にあって症状がない子供からもほかの子にウイルスがうつる可能性があります。だから症状がある子に接触していなくても、いつのまにか感染していたということはありえます。
潜伏期間にどう対策する?
突発性発疹の潜伏期間を言い当てることはできないので、いつどこでうつってもいいようにすることが対策になります。
5歳まではいつでも突発性発疹にかかっておかしくないことを知っておき、急に高熱が出たときに小児科の病院に行く目安を覚えておきましょう。
すぐに病院に行ったほうがいいのは次の場合です。
- 3か月未満
- 38度を超える熱が3日以上下がらない
- 顔色が悪い
- ぐったりして声をかけても反応が弱い
4. 突発性発疹の感染経路
悠真くんは熱が出る前の日までいつものとおり保育園に通っていました。
変なものを食べたわけでも、知らない場所に行ったわけでもなく、特に変わったことはありません。何をしたから感染してしまったのでしょうか?
突発性発疹がどのようにして感染するのかは今のところ明らかになっていません。
突発性発疹にかかった子供や大人を検査して、唾(つば)や痰(たん)を調べると、突発性発疹の原因であるヒトヘルペスウイルス6またはヒトヘルペスウイルス7が見つかります。このことから、口や気管といった空気の通り道の粘膜を介した感染が予想されます。
しかし、少し離れた場所にいても感染する
そのため、感染対策は似た病気にも共通する一般的なものになります。次に説明します。
5. 突発性発疹はどうやって予防するの?
悠真くんが家で寝ていると、友達がお見舞いに来ました。うつしてしまわないか心配になりますが、どんな対策をすればいいのでしょうか?
突発性発疹にはワクチンがありません。また、突発性発疹に一度かかった子供でも、二度目にかかることがあります。予防のためには、原因となるヒトヘルペスウイルス6やヒトヘルペスウイルス7をいかに体に入れないかが重要になります。
マスク、手洗いでウイルスを防ごう
突発性発疹のウイルスを体に入れないためには、医師など医療従事者が感染予防のために行っている「標準予防策」といわれる方法があります。以下に突発性発疹の際のポイントを箇条書きします。
- 唾液・鼻水・痰・便・血液といった、体から出てくるものに出来るだけ触れないようにする。
- 止むを得ず触れた場合は、せっけんで手を洗うか、消毒用アルコールを手を擦るようにして揉み込む。
- 症状がある人やその周囲の人はマスクを着用する。特に咳やくしゃみが出ているときは口と鼻を覆う「咳エチケット」を忘れない。
たとえば、突発性発疹で下痢気味になることがありますが、便の片付けをしたらよく手を洗ってください。
当たり前の内容に見えますが、案外うっかりしてしまうものです。感染が心配なときは是非思い出して気を付けてください。
突発性発疹になったらお風呂はダメ?
突発性発疹で高熱が出ているときは脱水になりやすい状態です。お風呂に入っても大丈夫ですが、長く浸かって汗をかくのは避けてください。シャワーだけにしておくのが無難でしょう。
突発性発疹は大人にはほとんどうつらないので、お母さんが一緒に入っても大丈夫です。兄弟姉妹にはうつる場合があるので、お風呂は分けたほうがいいでしょう。
突発性発疹になったら保育園は休むべき?
突発性発疹にかかったら保育園・保育所・幼稚園は休んで、外出は避け、家で安静にしてください。熱が下がったらもう1日様子を見てください。
厚生労働省では熱が下がって1日以上経ってから身体の状態が良ければ登園して良いとしています。
元気に動き回っていれば体の状態は良いと見ていいでしょう。寝ていて機嫌が悪いときはもう1日待ってください。不機嫌は体の調子が悪いサインです。