気管支炎で知っておきたいこと:抗菌薬の必要性、感染性など
空気の通り道「
1. 気管支炎に抗菌薬(抗生物質)は必要か
気管支炎は主にウイルス感染によって、空気の通り道である気管支が炎症を起こした状態を指します。喉かぜや鼻かぜを起こすウイルスの炎症が波及してくることが気管支炎の主な原因と考えられています。
抗菌薬は名前の通り、
一方で、マイコプラズマや百日咳のように、細菌が気管支炎の原因となることもあります。また、肺炎になっている人は細菌が悪さをしていることが多いです。こうした人では抗菌薬を使用するメリットが大きいと考えられます。
したがって気管支炎の人全員が抗菌薬を使うのは勧められませんが、3日以上高熱が続く、
2. 気管支炎はうつるのか
気管支炎は人にうつることがよくあります。風邪の原因となるウイルスによる気管支炎もうつりますし、マイコプラズマや百日咳といった菌による気管支炎もうつります。
マイコプラズマや百日咳などの細菌性気管支炎は
3. ストレスが原因で気管支炎になるのか
ストレスが原因で気管支炎になるかどうかはよく分かっていません。精神的な要因により咳が出る「心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)」という病気は確かにありますし、ストレスが多いとウイルスに対する
しかし、ストレスというものを医学的に数値化することは困難です。そのため、ストレスがかかっている方が気管支炎になりやすい、ということを科学的に明確に証明するのは難しいと言わざるをえません。
4. 子どもに多い喘息様気管支炎とは
喘息様気管支炎は急性気管支炎の一種です。喘息性気管支炎とも呼ばれます。もともと気管支が狭い0-2歳くらいの乳幼児が気管支炎を起こすと、気管支がますます狭くなり、ゼーゼー、ヒューヒュー、ゼロゼロという苦しそうな呼吸をすることがあります。これが喘息の症状に似ているため喘息様気管支炎と呼ばれています。
乳幼児でこうした気管支炎を起こす原因として、RSウイルスが有名です。近年は鼻から
なお、RSウイルスは健康な成人に感染しても無症状か軽度のかぜ症状を起こす程度ですが、乳幼児に感染すると入院が必要になるほどの強い症状が出ることもあります。お子さんが苦しそうな呼吸をしていたら、小児科を受診するようにしてください。
5. 気管支炎に有効な予防策とは
気管支炎の予防策は一般的なかぜ予防策と同様です。マスク着用、手洗い、うがいの励行が簡単にできる良い対策と言えそうです。マイコプラズマや百日咳による気管支炎は、上述の通り各都道府県が流行状況をオンラインで公表しているので、どの程度気をつければよいかの目安にもなるかもしれません。
また、
百日咳については、実は子どものときに3種混合・4種混合ワクチンとして予防接種を受けているはずです。しかし、それでも大人になってからワクチンの効果が弱くなって感染することがあります。百日咳は乳児が感染すると命に関わることもあるため、子どもがしっかりとワクチン接種を受けるのに加えて、任意(自費)接種で同居の大人も再度ワクチン接種をしておくことも立派な感染予防策です。
参考文献
日本呼吸器学会呼吸器