脂肪腫の原因について:遺伝や外傷との関連など
脂肪腫は皮膚の奥の脂肪の層に脂肪の塊ができる病気です。どうして脂肪の塊ができるのかのメカニズムは完全には分かっていません。遺伝、外傷、肥満などが要因の候補として考えられています。
1. 脂肪腫の原因は何か?

皮膚の奥には脂肪の層があります。脂肪腫はこの層の中に脂肪の塊ができる病気です。脂肪の塊は非常にゆっくりとしたスピードで大きくなっていくため、その存在に気づく何年も前から、小さな塊が皮膚にできていると考えられています。
脂肪の塊がどうしてできるのかについては完全には分かっていません。脂肪腫の要因の候補として以下のものが考えられています。
- 遺伝
- 外傷(怪我)
- 肥満
以下でそれぞれについて説明していきます。
参考文献:Charifa A, Azmat CE, Badri T. Lipomas, Pathology - StatPearls(2020.9.21更新版)
2. 遺伝
家族に脂肪腫を起した人がいる人は、そうでない人に比べて、脂肪腫になりやすいです。これは家族の間で脂肪腫になりやすい体質が遺伝するためです。
ただ、家族に脂肪腫がいなくても脂肪腫になる人がいます。逆に家族に脂肪腫がいても脂肪腫にならない人もたくさんいます。そのため、脂肪腫になるかどうかは遺伝だけではなく、他にもさまざまな要因があると予想されています。
3. 外傷(怪我)
怪我は医学用語で外傷と呼びます。外傷も脂肪腫の要因の一つとなる可能性が指摘されています。
外傷を起こした場所では修復するために、さまざまな物質が産生されます。そのひとつに
参考文献:Nickloes T. A. et al. Lipomas. Medscape (2020.5.26更新版)
4. 肥満
肥満の人は肥満でない人よりも、身体に脂肪がたくさんついています。そのため、肥満の人では脂肪腫になりやすいのではないかと考えられていました。ただ、これまでの研究から肥満の人が脂肪腫になりやすくなるというデータは十分に揃っていません。肥満が脂肪腫の要因になるのかはっきりとした結論は出ていない状況と言えます。
5. その他の原因の候補
その他にも糖尿病、お酒の飲み過ぎなどが脂肪腫の要因となるのではないかと言われていますが、これらも候補の域を出ていません。ただ、糖尿病やお酒の飲み過ぎは身体への悪影響があるため、脂肪腫の要因になるかどうかに関わらず、適切に治療する必要がある疾患であると言えます。
6. ストレスは原因になるか?
ストレスが原因で脂肪腫ができることはありません。ストレスが原因で脂肪腫が大きくなることもないと考えられています。