しぼうしゅ
脂肪腫
皮膚と筋肉の間や、筋肉にできる脂肪のかたまり
5人の医師がチェック 88回の改訂 最終更新: 2022.03.30

脂肪腫の治療について:手術

脂肪腫の根治療法は手術です。ただし、サイズが大きくなければ、放置しても問題にならないことが多く、手術をしないという選択肢もあります。手術は局所麻酔で行われることが多く、日帰りで(入院が必要なく)受けることが可能です。

1. 脂肪腫は治療が必要?放置するとどうなる?

脂肪腫の多くは放置しても身体に影響はなく大きな問題になりません。ただし、次のような場合には治療が必要になります。

  • 見た目が気になる
  • 邪魔になる
  • サイズが大きい

特に10cm以上のものはがんの可能性も加味する必要があるため、検査の意味も兼ねて手術を勧められることが多いです。

参考文献:Bird J E. et al. Non-Radiographic Risk Factors Differentiating Atypical Lipomatous Tumors from Lipomas. Front. Oncol., 22 September 2016

2. 脂肪腫の根治療法は手術

脂肪腫は皮膚の中に脂肪の塊ができる病気です。治療が必要な場合には、手術で塊を取り除きます。麻酔は局所麻酔で良いことが多く、日帰りで手術を受けることが可能です。ただし、事前の検査から脂肪腫が大きかったり、深くまで及んでいると予想される場合には、全身麻酔の手術になり、入院での手術を勧められることもあります。

手術のおおまかな手順を説明します。

  • ① 手術する場所を消毒します。
  • ② 手術部位の局所麻酔を行います。
  • ③ 麻酔が効いているのを確認した後、脂肪腫のある場所の皮膚をメスで切り開きます。その後、脂肪腫を切り取ります。
  • ④ 脂肪腫が切り取れたら、切り開いた場所を糸で縫い、ガーゼで保護します。
  • ⑤ 7-14日程度たったところで傷を縫っていた糸を抜き取ります。

①から④までに要する時間は30分から1時間程度になります。ただし、脂肪腫が大きかったり、周辺の組織に癒着している場合には、それ以上の時間がかかることがあります。

3. 手術の注意点

手術前後の注意点として感染やアレルギーなどのリスクがあります。感染は手術でできた傷口から細菌が身体の中に入ることで起こります。感染のリスクを減らすため、手術の前後では抗生物質を内服します。

アレルギーは手術に伴い使用される薬により起こります。具体的には、痛みを和らげるための局所麻酔薬や、感染予防のための抗生物質などが挙げられます。アレルギー症状としては蕁麻疹じんましん)が出るだけの軽度なものから、アナフィラキシーショックといって、血圧が下がったり、呼吸ができなくなるといった重症なものまで含まれます。もし、これまでにアレルギーを起こした薬がある場合には、事前に申告するようにしてください。

4. 脂肪腫の薬物治療について

手術の代わりに薬による治療ができればと思われるかもしれません。しかし、残念ながら脂肪腫は薬で治療することはできないのが現状です。脂肪腫の手術は安全に行えることがほとんどですので、心配しすぎる必要はありません。

なお、サイズが小さな脂肪腫に関しては放置しても問題ないことが多いので、必ずしも手術を受けなければならないわけではありません。手術を受けるかどうかはお医者さんとメリット・デメリットをよく相談のうえ、決めてみてください。

5. 脂肪腫の治療は何科で受けられる?

脂肪腫の治療は皮膚科、形成外科が専門にしています。脂肪腫の治療を希望する人は、皮膚科、形成外科のお医者さんに相談してみてください。