けっかく(はいけっかく)
結核(肺結核)
結核菌を吸い込むことで発症する肺の感染症。せき、たん、血痰、喀血,
発熱、体重減少などを起こす
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最終更新: 2024.03.18
結核(肺結核)の基礎知識
POINT 結核(肺結核)とは
結核菌による感染が肺に起こる病気です。主な症状は微熱・咳・痰・倦怠感・食欲低下・体重減少・寝汗などですが、病状が進行すると息苦しさ・血痰・喀血・胸痛などが出てきます。 結核の診断は体内(痰や胃液やリンパ液、髄液など)で結核菌の存在を証明することです。しかし、結核であるのに結核菌がなかなか見つからないことも少なくありません。その場合の補助的な検査として、血液検査(IGRAs:T-SPOT)を行います。治療には抗結核薬を複数用います。結核が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科や感染症内科を受診して下さい。
結核(肺結核)について
結核菌 という細菌 の感染よって発症 する肺の感染症 であり、せき、たん、血痰 、喀血 を起こす病気- 特に発展途上国では依然として大きな問題となっている
- 日本でも毎年約1万人が発症しており、先進国の中ではやや多い
- 結核菌の感染、
免疫 機能の低下が原因で起こる- 肺結核は
空気感染 (飛沫核感染 )する - 通常のマスクでは十分に感染を防ぐことはできない
- 肺結核は
- 感染しているということと、発症(発病)していることは別の状態である
- 結核菌に感染していても症状が出ない人も多い
- 日本では結核の予防接種(BCG)が義務化されている影響もあって、結核菌を吸い込んでも5%から10%程度しか感染しないと考えられている
- 結核菌に感染しても、多くの人は免疫が結核菌を押さえ込むことで発病しない(結核菌が体内で冬眠したような状態になる)
- 発症しない人も体内に菌が潜んでいる可能性がある
HIV 感染によって免疫力の低下(細胞性免疫不全)が起こると結核菌感染を起こしやすくなる- 特に若い人で結核感染を見つけたらHIVの検査を行う必要がある
結核(肺結核)の症状
- 起こりうる症状
- 咳
- 痰
- 発熱
倦怠感 - 体重減少
- ひどい寝汗
- 食欲の低下 など
- 進行すると起こりやすい症状
- 息苦しさ
血痰 喀血 - 胸の痛み など
結核(肺結核)の検査・診断
細菌検査 :痰の菌の種類を調べる結核菌 の感染が疑われる人は、周囲への感染防止のための特別な部屋(陰圧管理できる部屋)に入院する必要がある- 痰を顕微鏡で調べて、痰の中に結核菌がいないと証明された人は特別な部屋から出ることができる(多くの場合は3回痰の検査を行う)
- 痰から結核菌が検出できず、なかなか診断がつけられない人には
気管支鏡 検査を行うことがある
- 血液検査
- T-SPOTといった血液検査(IGRAs)で感染の有無を確認できる
- 現在の感染なのか過去の感染なのかは判定できない
- ツベルクリン反応は、BCGの影響を受けることによって、実際には結核に感染していなくても陽性という結果になる(
偽陽性 )ことが多い
- T-SPOTといった血液検査(IGRAs)で感染の有無を確認できる
- 画像検査
胸部レントゲン (X線 写真)検査胸部CT検査
結核(肺結核)の治療法
結核(肺結核)に関連する治療薬
アミノグリコシド系抗菌薬
- 細菌のタンパク質合成を阻害し殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
- 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
- タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
- 本剤は細菌のリボソームにおけるタンパク質合成を阻害して抗菌作用をあらわす
- 薬剤によって抗菌作用の範囲に違いがあり、淋菌(淋菌感染症の原因菌)やMRSA(MRSA感染症の原因菌)などに抗菌作用をあらわす薬剤もある