陰のう水腫とはどんな病気なのか?
陰のうは精巣が収まっている袋状の構造物です。この袋の中に液体が溜まる病気が陰のう水腫です。陰のう水腫が命に影響を及ぼすことはほとんどありませんが、膨らみが大きくなると、違和感や歩きにくさの原因になり日常生活に支障が現れます。このページでは陰のう水腫の概要として、
目次
1. 陰のう水腫とはどんな病気なのか?
陰のうとは精巣(睾丸:こう
2. 陰のう水腫の症状について
陰のう水腫の主な症状は「陰のうの
3. 陰のう水腫の原因について
陰のう水腫の原因は
■先天性:生まれつきのタイプ
精巣は数枚の膜に包まれて、陰のうの中に収まっています。精巣ができる過程で精巣を包む膜がうまく形成されないと、膜と膜の間にスペースが空き、陰のうとお腹の中がつながった状態になったりすることがあります。この状態になると水分がたまりやすく、陰のう水腫の原因になります。1歳未満でみつかった場合には先天性陰のう水腫の可能性が高く、自然に治りやすいことが分かっているので、
■後天性:生まれつきではないタイプ
精巣ができる過程での異常が主な原因とである先天性に対して、後天性陰のう水腫の原因は怪我や
4. 陰のう水腫の検査について
症状から陰のう水腫が疑われた人には診察や検査が行われ、原因や状態を詳しく調べます。
【陰のう水腫が疑われた人の診察や検査】
問診 - 身体診察
- 画像検査
超音波検査 MRI 検査CT 検査
陰のうが腫れる病気はいくつかあります。例えば、精巣腫瘍や精巣炎、精巣上体炎などです。これらの病気と陰のう水腫を見分けるために診察や検査が必要になります。 特に重要なのが画像検査です。陰のうの中の状態を画像としてとらえることができるので、陰のうが腫れた原因を詳しく調べられます。画像検査で、陰のうの中身が液体とわかれば、陰のう水腫である可能性がかなり高くなります。一方で、精巣自体が腫れている場合や精巣上体が腫れている場合には、他の病気の可能性が高くなります。
5. 陰のう水腫の治療について
陰のう水腫は自然
陰のう水腫の治療は2つあります。一つは注射器で陰のうの中に溜まった液体を抜き出す方法(
6. 陰のう水腫で知っておいてほしいこと
陰のうのようなデリケートゾーンに起こる病気は相談しづらいものです。患者さんの中には、かなり前から気になっていたものの放置していたと話す人が珍しくありません。気恥ずかしさはあるとは思いますが、受診をお勧めします。症状が軽ければ、経過観察を選んでもよいですし、違和感や歩きづらさがある人は早めに治療したほうがよいです。
また、陰のう水腫以外にも陰のうが腫れる病気があることは知っておいてください。中でも精巣腫瘍は命に危険が及ぶことがあり、治療を急ぐ病気です。ですので、陰のうが腫れたらまずは医療機関を受診することをおすすめします。 このページでは陰のう水腫の全体像を掴むために網羅的に説明しました。患者さんからよく受ける質問については「こちらのページ」でも説明しているので、参考にしてください。
参考文献
・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011