いんのうすいしゅ
陰のう水腫
陰のうに水がたまる病気で先天的なものと他の病気が原因のことがある
8人の医師がチェック 100回の改訂 最終更新: 2022.02.09

陰のう水腫の治療について:手術は必要? 経過観察は可能?

陰のう水腫の主な治療は手術と穿刺排液治療の2つです。それぞれにメリットとデメリットがあり、患者さんの状態や陰のう水腫の程度からどちらを選ぶかが判断されます。このページでは陰のう水腫の治療について掘り下げて説明します。

1. 自然治癒することがあるので必ず治療しなければいけないわけではない

陰のう水腫は自然治癒が見込める病気です。特に、1歳未満にみつかった場合は自然に治りやすいので、経過観察が選ばれることが多いです。1歳以上になっても改善が見られない場合には、手術が検討されます。 また、1歳未満の赤ちゃんだけではなく、陰のう水腫を大人で発症しても自然治癒が期待できます。特に、陰のうに溜まった液体が少量の場合は、自然に治ることが多いので、基本的には様子をみます。治療が検討されるのは急に陰のうが大きくなったり、違和感や歩きづらさといった症状が現れた場合です。

2. 手術

陰のう水腫が起こるのは、陰のう内に液体が溜まるスペースが存在するためです。手術では液体が溜まりやすいスペースを塞ぎます。具体的には、陰のうもしくは鼠径部を数センチ切開し、中身の液体を抜きます。その後、組織を縫い合わせて液体がたまっていたスペースを塞ぎます。

陰のうと鼠径部のどちらを切開するかは、陰のう水腫のタイプによって決まります。鼠径部の切開が必要となるのはお腹のなかと陰のうがつながっているタイプの陰のう水腫です。

切る部分が陰のうにしろ鼠径部にしろ数日間の入院が必要ですが、お腹や胸を切る手術に比べれば身体への負担は軽めです。また、手術の効果は高く、再発することはほとんどありません。

3. 穿刺排液治療:陰のう内部にたまった水分を注射器で吸い出す治療

手術だけではなく、注射針で陰のう内部の液体を抜くことでも症状を改善することができます。手術に比べて身体への負担が小さく、入院する必要もありません。外来で、数分で治療することができます。メリットもある穿刺排液治療ですが、再発することがあるので、子どもや再発を繰り返している人には不向きだと考えられています。

参考文献

・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011