かっしょくさいぼうしゅ
褐色細胞腫
腎臓の上にある副腎やその周りの神経にできる腫瘍。カテコラミンと呼ばれるホルモンを過剰に作り出し、高血圧などの原因となる
10人の医師がチェック
88回の改訂
最終更新: 2025.09.18
褐色細胞腫の基礎知識
POINT 褐色細胞腫とは
腎臓の上にある副腎やその周りの神経にできる腫瘍です。カテコラミンと呼ばれるホルモンを作り出して高血圧などの原因になります。多発性内分泌腫瘍やフォン・ヒッペル・リンドウ病、神経線維腺腫といった遺伝病が関係している場合があります。褐色細胞腫では頭痛や高血圧症、多汗症、体重の減少などが起こります。褐色細胞腫が疑われる人は血液検査や尿検査、画像検査(超音波検査やCT検査、MRI検査など)などを行い詳しく調べられます。褐色細胞腫の人にはまず高血圧を治療し、具体的にはα遮断薬という薬で血圧を下げます。血圧が落ち着いたところで手術で腫瘍を取り除きます。褐色細胞腫の約10%が転移をし、その場合には抗がん剤で治療します。褐色細胞腫の治療は内分泌内科、消化器外科、泌尿器科で行われます。
褐色細胞腫について
- 腎臓の上にある副腎にできた
腫瘍 で以下のような特徴がある交感神経 に働くカテコールアミンと呼ばれるホルモン を腫瘍が過剰に作り出し、二次性 高血圧などの原因となる- 約10%は腫瘍が多発する
- 副腎以外にできることもあり、その場合はパラガングリオーマと呼ぶ
- 褐色細胞腫の一部は遺伝的要因によって発生すると考えられている
- 多発性内分泌腫瘍症2型
- フォン・ヒッペル・リンドウ病
- 神経線維腫症1型 など
- 患者数は約3000人(平成22年度)とされる
- 小児慢性特定疾患に指定されており、申請を行えば症状の進行具合によって医療費の補助を受けることができる
褐色細胞腫の症状
腫瘍 が作るホルモン の異常で症状が出る- 頭痛
- 高血圧
血糖 値の上昇代謝 亢進(だるさなど)- 汗が多くなる
- 体重減少
- 顔面蒼白
- まれに起こる症状
動悸 - 視力障害
- 心不全
褐色細胞腫の検査・診断
- 血液検査:
ホルモン の量などを調べる(メタネフリン、カテコールアミン) - 尿検査:
発作 時のホルモンの量などを調べる(メタネフリン、カテコールアミン) - 画像検査:
腫瘍 の大きさや位置などを調べる腹部超音波検査 腹部CT検査 腹部MRI 検査核医学検査 :123I-MIBGシンチグラフィ 、18F-FDG PET等
褐色細胞腫の治療法
- 治療は、まずα遮断薬という
交感神経 を抑える薬を使用- α遮断薬によって血圧が下がる
- 次いでβ遮断薬を併用して脈拍を適切な水準まで抑え、不整脈を抑える
- 血圧などの状態が落ち着いていれば早期に
腫瘍 を手術で取り除く - 両側の副腎に腫瘍がある場合、手術で両側の副腎を取り出すと
副腎皮質ホルモン が不足するため、ステロイド薬 (副腎皮質ホルモン製剤)で補う - 10-15%が悪性であり、その場合は
化学療法 が行われる場合もある - 手術が難しい人では、放射性ヨウ素による
放射線治療 を行うこともある - 糖尿病や脂質異常症を
合併 した場合は、腫瘍の治療と並行して治療を行う - 遺伝の可能性がある病気であるため、カウンセリングを行う場合があるが、専門性の高い施設で受けるのが望ましい
褐色細胞腫のタグ
褐色細胞腫に関わるからだの部位