腹圧性尿失禁の検査について:排尿日記、ストレステスト、パッドテストなど
腹圧性尿失禁が疑われる人には診察や検査が行われ、腹圧性尿失禁かどうかや程度が調べられます。このページでは腹圧性尿失禁の診察や検査について掘り下げて説明していきます。
1. 問診
【腹圧性尿失禁が疑われる人への質問例】
- 排尿状況についての質問
- いつくらいから尿もれがあるのか
- どの程度尿がもれるのか
- 毎回尿がもれるのか、それとも数回に一回なのか
- 患者さんの背景についての質問
- 過去にかかったことがある病気には何があるか
- 現在治療中の病気はあるか
- 定期的に飲んでいる薬はあるか
尿失禁の症状について詳しく話すのには抵抗を感じる人が多いです。しかしながら、ありのままをお医者さんに伝えることが、効果的な治療につながります。「治す」という目的のためにお医者さんも詳しく知りたいと思っていますので、できるだけ正確に症状を伝えてください。それでも口にするのが恥ずかしいと思う人はメモを用意して、まずお医者さんに読んでもらうなどの工夫をしてみるとよいです。
2. 身体診察
一般的に、身体診察は問診に続いて行われます。問診で得た情報をもとにお医者さんが患者さんの身体の状態をくまなく調べます。イメージしやすい例では、
3. 尿検査
尿検査では尿に含まれる成分を調べます。「糖」や「タンパク質」「
4. 排尿日誌
排尿日誌は排尿状況や尿失禁のタイプを把握するのに役立ちます。排尿日誌は一般的には次のような項目で構成されており、毎日の様子を時間ごとに記録していきます。
【排尿日誌の記入例】
20XX年X月X日
時間 | 尿量(mL) | 尿意切迫感 | 尿もれ | 水分量 | メモ |
7:00 | 300mL | あり | あり | なし | 起床時 |
9:00 | お茶200mL | ||||
・ ・ ・ | |||||
22:00 | 400mL | あり | なし | なし | 就寝前 |
上の表はあくまでも例なので、各医療施設によってアレンジが加えられている場合もあります。また自分で作成する場合は自分で気になる症状などを追加して作ってみてもよいです。
特に腹圧性尿失禁が心配な人は「尿もれ」の欄を詳しく記載するようにしてください。
5. 特殊な検査
ここまでの診察や検査で腹圧性尿失禁が強く疑われた人には腹圧性尿失禁に特化した検査が行われます。
ストレステスト
膀胱内に生理食塩水を注入した上で、腹圧を上げ(いきむまたは咳ばらいをする)、尿もれがあるかどうかを調べます。漏れがある場合を陽性と判定し、腹圧性尿失禁の診断の材料になります。
パッドテスト
尿失禁の程度を評価する検査方法です。500mLの飲水後に、パッド(おむつのようなもの)を装着し、歩行や階段の上り下りなどを行います。運動後にパッドの重量を測定すると、尿もれの有無およびその量がわかります。2g以上の漏れが確認できた場合、尿失禁があると判定されます。
Qティップテスト
尿道(膀胱から尿を体外に出す管状の臓器)が動きやすいことが腹圧性尿失禁の原因の1つと考えられています。尿道の安定性を評価する方法の1つがQティップテストです。尿道に綿棒を挿入し、腹圧をかけ、綿棒の動きを観察します。綿棒の移動が大きければ(正確には水平面に対して30°以上の移動があれば)、Qティプテスト陽性と判断し、尿道が不安定である証拠になります。
6. 尿流動態検査
尿流動態検査は主に排尿時の膀胱や尿道の動きを数値化する検査です。検査機器を装着した状態で排尿を行い、排尿に関わる臓器の機能を客観的に評価します。 腹圧性尿失禁の診断では、ここまでに説明した問診や身体診察、ストレステストやパッドテストといった検査でほとんどが十分ですが、他の病気(神経因性膀胱や前立腺肥大症など)の病気の存在が否定できない場合に尿流動態検査が行われます。 詳しくは「神経因性膀胱の検査について」で説明しているので、参考にしてください。
7. 画像検査
身体の中を画像化する検査です。健康診断でお馴染みの
超音波検査(エコー検査)
MRI検査
MRI検査は磁気を利用した画像検査です。似たような検査に放射線を使う
参考