[医師監修・作成]神経因性膀胱の検査について | MEDLEY(メドレー)
しんけいいんせいぼうこう
神経因性膀胱
脳や自律神経の障害などにより尿を我慢したり出したりする膀胱の機能がコントロールできなくなる病気
6人の医師がチェック 85回の改訂 最終更新: 2022.02.07

神経因性膀胱の検査について

神経因性膀胱は原因となる病気が背景にあることが多いです。そのため、問診では排尿の状況とともに、持病や過去の病気についても聞かれます。また、膀胱の機能を調べる尿流動態検査や超音波検査などの検査が、状態の把握に有用です。このページでは神経因性膀胱の検査について掘り下げて説明していきます。

1. 問診

問診とは患者さんの対話による診察を指します。その主な目的は「患者さんの身体の状況や症状を把握すること」や「患者さんの背景を確認すること」です。まず、患者さんはお医者さんに症状など困っていることを伝えるようにしてください。その後、お医者さんがいくつか質問をするので、それに答えてください。途中で知りたいことが出てきた際には都度聞いてもよいです。

【神経因性膀胱の人への質問例】

  • 排尿状況についての質問
    • 朝起きてから寝るまでに何回くらい排尿をするか
    • 寝ている間に何回くらい排尿をするか
    • 急に尿がしたくなり我慢が難しいことがあったか
    • 急に尿がしたくなり我慢ができず尿を漏らすことがあったか
    • 尿意の変化はあるか:過敏になったり鈍くなったりすることはあるか
  • 患者さんの背景についての質問
    • 過去にかかったことがある病気には何があるか
    • 現在治療中の病気はあるか
    • 定期的に飲んでいる薬はあるか

日中に何回排尿をするかは急に聞かれても意外にわからないことが多いと思うので、大まかに答えてもらっても問題ありません。より正確に答えたい人は、受診前に数日間ほど記録しておくとよいです。

神経因性膀胱は原因があることがほとんどです。例えば糖尿病であったり、脳神経の病気であったり、薬の副作用であったりと様々です。神経因性膀胱の治療法は原因によって変わるので、原因をはっきりさせなければならず、そのためには患者さんが持っている情報が重要になります。うまく伝えられるか心配な人は事前に書き出すなどするとより確実なので、試してみてください。

2. 身体診察

一般的に問診に続いて行われる身体診察では、お医者さんが直接患者さんの身体の状態をくまなく調べます。具体的には、患者さんの身体を観察したり、聴診器で身体の中の音を聞いたり、身体に触れたりして診察が進められます。問診で得られた情報を元に、問題がありそうな部位は念入りに調べられます。身体診察の結果で続いて行う検査の必要性や優先順位が判断されます。

3. 尿検査

尿検査では尿に含まれる成分が調べられます。具体的には、糖やタンパク質、白血球などです。神経因性膀胱がある人に特徴的な尿検査結果が出るわけではないので、診断の決め手にはならないのですが、他の病気を除外するのに役立ちます。尿検査については「膀胱炎になったらどんな検査をする?」で詳しく説明しているので、より深く理解したい人は参考にしてみてください。

4. 排尿日誌

排尿日誌は排尿状況や尿失禁のタイプを把握するのに役立ちます。排尿日誌は一般的には次のような項目で構成されており、毎日の様子を時間ごとに記録していきます。

【排尿日誌の記入例】

20XX年X月X日

時間 尿量(mL) 尿意切迫感 尿もれ 水分量 メモ
7:00 300mL あり なし なし 起床時
9:00       お茶200mL  
 ・  ・  ・          
22:00 400mL あり なし なし 就寝前

上の表はあくまでも例なので、各医療施設によってアレンジが加えられている場合もあります。また自分で作成する場合は自分で気になる症状などを追加して作ってみてもよいです。

5. 尿流動態検査

尿流動態検査は排尿時の膀胱や尿道などの動きを数値化して、客観的に膀胱の機能を調べる検査です。尿流量動態検査には下記のようにいくつか種類が存在します。

【尿流動態】

  • 尿流測定
  • 残尿測定
  • 内圧尿流検査
  • 膀胱内圧測定
  • 外尿道括約筋筋電図
  • 腹圧下漏出時圧測定
  • 尿道内圧測定

神経因性膀胱が疑われる人にはリストで太字になっている「尿流量測定」「残尿測定」「膀胱内圧測定」の3つが行われることが多いです。以下では3つの検査を掘り下げて説明します。

尿流量測定

尿の勢いを調べる検査です。同時に「一回あたりの尿量」や「排尿時間」も調べることができます。排尿に不調をきたす病気は神経因性膀胱以外にも、前立腺肥大症膀胱炎などの病気があります。それぞれの病気ごとに特徴的な検査結果が見られるので、原因となっている病気の推定に役立ちます。

残尿測定

排尿直後に、膀胱の中に存在する尿の量(残尿量)を調べる検査です。残尿量が多いと頻尿や尿失禁といった症状が現れやすくなりますし、膀胱炎水腎症といった病気が引き起こされやすくなります。

膀胱内圧測定

主に膀胱の尿を「溜める力」と「排出する力」を調べる検査です。これらの力は膀胱内の圧力から推定することができます。検査は膀胱内の圧力測定に必要な特殊な管を膀胱と直腸に挿入し行われます。

6. 超音波検査(エコー検査)

エコー検査は超音波の反射を利用して、身体の中の様子を画像化します。神経因性膀胱に似た症状は他の膀胱の病気や前立腺の病気でも起こるので、その有無を調べるのに役立ちます。また、神経因性膀胱は、腎臓(腰の位置くらいにあり尿を作る臓器)に影響を及ぼすことがあるので、腎臓の状態を確認する目的でも行われます。

7. 内視鏡検査

胃や大腸の検査で用いられる内視鏡は膀胱の検査でも用いられます。胃カメラ大腸カメラのように膀胱カメラとは言わずに膀胱鏡検査というのが一般的です。検査は尿道から膀胱鏡を挿入して行われます。膀胱の中を詳細に観察でき状態の把握に有効です。

参考文献

・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014

・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011