きょうけんびょう
狂犬病
狂犬病ウイルスに感染した犬に噛まれることで発症する、致死率の高い疾患。日本国内での感染は近年報告されていない
8人の医師がチェック 78回の改訂 最終更新: 2018.02.28

狂犬病の基礎知識

POINT 狂犬病とは

狂犬病は狂犬病ウイルスによる感染症です。狂犬病ウイルスに感染した犬などの動物に噛まれることで感染がうつります。発病するとほぼ100%の確率で亡くなる病気です。日本国内での発症は50年以上ありませんが、2006年に海外帰国者2名が発症しました。主な症状は、傷口のかゆみや痛み・頭痛・嘔吐・呼吸障害・錯乱・恐水症などになります。 感染の状況や症状から診断することになります。有効な治療方法はありません。狂犬病が疑われたところでいち早くワクチンを打つことで発病を予防できる可能性が報告されています。狂犬病が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。とはいえ、日本国内での発症は近年ありませんので過度に心配する必要はありません。

狂犬病について

  • 全ての哺乳類が感染する危険性のあるウイルス感染症
    • 発病すると治療法がなく、ほぼ100%死亡する
  • 病気のメカニズム
    • 狂犬病ウイルスに感染した動物に噛まれると感染する
    • ひっかかれたり、傷のある皮膚を舐められても感染する
    • 傷から狂犬病ウイルスが体内に入り、傷口付近の筋肉細胞の中で増えてから、神経に侵入する
    • ウイルスが神経の中を脊髄に向かって進むと、全身に症状が現れる
  • 2004年のWHOの報告では、年間の死亡者数推計55000人(アジア31000人、アフリカ地域24000人)
    • 日本では2006年2名死亡(フィリピンを旅行中、犬に噛まれ帰国後発病)
    • 日本国内では50年以上前から狂犬病の発生はない
  • 病気の知識 
    • 狂犬病の致死率はほぼ100%であり、現在までに救命できたと報告されている患者は6例のみ
    • 潜伏期間は数か月が一般的だが、ときに1年と超えることもある

狂犬病の症状

  • 主な症状
    • 傷口のかゆみ、痛み
    • 頭痛
    • 嘔吐
    • 恐水症(水が飲めなくなる)
    • 精神錯乱
    • 全身の麻痺
    • 呼吸障害
  • 初期症状
    • 一度治った傷が再び痛み、かゆくなる
    • 傷口付近の筋肉がけいれんする
    • 発熱やだるさが出てくる
  • ウイルスが脳に達した場合の症状
    • 水を飲もうとするとのどの筋肉がけいれんして強い痛みが起こり、水を避ける(恐水症)
    • 高熱や全身のけいれん発作が起こる
    • 昏睡状態に陥り、死亡する場合もある

狂犬病の検査・診断

  • 早期に診断するうえで役立つ検査法は、今のところない
  • 恐水症のような特徴的な症状があり、狂犬病の流行がある海外で噛まれたことがあれば、診断が可能
  • 狂犬病ウイルスを唾液や脳脊髄液から分離し、証明する方法はある
    • しかし、脳内で狂犬病ウイルスが増殖したり、唾液腺や皮膚に移動した後でなければ陽性にならないため、それから治療をしたのでは手遅れとなる

狂犬病の治療法

  • 治療
    • 発症後の有効な治療はない
    • 狂犬病が疑わしい動物に噛まれたあとすぐにワクチンを接種したりガンマグロブリンを投与したりすることで、発病を阻止することができる可能性がある
      ・傷が軽症であればワクチンのみの接種で良い場合がある
  • 予防、再発予防方法
    • 狂犬病ワクチンは国内に存在するが、その数は限られている
    • 海外の狂犬病流行国で頻繁に動物に接することが予想される場合は、渡航前にワクチン接種を検討する
      ・日本国内の犬に噛まれたケースでは、50年以上発生が1例もない
      ・日本国内で生活する限り狂犬病ワクチンを打つ必要性はない
    • 飼い犬には年に1回のワクチン接種が義務づけられている
  • 狂犬病ワクチンの情報について
    • 厚生労働省検疫所(FORTH)で詳しい情報を提供している

狂犬病の経過と病院探しのポイント

狂犬病が心配な方

狂犬病は、動物が媒介する狂犬病ウイルスによる感染症です。イヌにかぎらずキツネやコウモリなど様々な動物が感染の原因となります。国内では狂犬病の発症は1957年以降報告されていませんが、海外で感染するリスクのある感染症です。

狂犬病では呼吸困難や、うまく飲み込めないことを恐れて水が飲めなくなる恐水症が有名ですが、発症してしまってからの治療法は残念ながら今の医学では開発されていません。野生動物に触れようとしないなど狂犬病の流行地域で動物に噛まれないように気をつけるのはもちろんですが、噛まれた後であってもいかにして発症を予防するかが大切です。

海外で動物に噛まれたら、すぐに現地の医療機関を受診しましょう。狂犬病の流行状況を確認することに加え、流行地域であれば噛まれてからであってもワクチンを摂取することで発症のリスクを低下させることができます。ワクチン以外にはガンマグロブリンといって免疫物質の点滴製剤があります。国内であれば外科や救急科が受診すべき科になります。

また、根本的な予防のためには渡航前に狂犬病のワクチンを打っておけると万全です。初回の接種から4週間開けて2回目、そして半年後以降に3回目を接種します。

狂犬病に関連する診療科の病院・クリニックを探す


狂犬病のタグ

MEDLEYニュース新着記事