2016.01.12 | ニュース

犬に噛まれた!感染リスクは?

犬に噛まれた495人を検証
from Emergency medicine journal : EMJ
犬に噛まれた!感染リスクは?の写真
(C) laszlolorik - Fotolia.com

動物の口の中には細菌やウイルスがたくさん存在するため、かまれた傷口から感染する可能性があります。米国の研究チームが、犬に噛まれてできた傷の感染リスクを検証しました。

◆救急治療を受けた495人の感染リスクを検証

研究チームは犬に噛まれて救急治療を受けた495人の患者さんの傷とその治療の特性と感染リスクを検証しました。

 

◆5%が感染

対象となった患者さんのうち345人の追跡が完了できました。そのうち、18人に傷口からの感染がありました。深い刺跡のできた傷や、処置中に閉じた傷がより感染リスクが高く(それぞれ感染リスクが4.1倍と3.1倍)、予防的に抗菌薬を使うことが考慮されるべきだと報告されました。噛まれた場所は感染リスクと関係しませんでした。

 

ペットに噛まれる頻度は多くありませんが、昨今ペットの輸入が増えており、狂犬病やその他の人獣共通感染症に感染した動物が輸入される可能性も懸念されます。日本国内では近年、狂犬病の感染は確認されていませんが、日本人が海外に滞在中に犬に噛まれたことで狂犬病に感染し亡くなられた事例があります。 

また、犬より猫の方が感染リスクが高いとされています。猫の歯の方が細く、噛む力もあり、傷口が小さく深さがあるため洗浄が困難で、内部で菌が繁殖しやすくなるためです。猫の場合は噛まれても油断して病院に行くのが遅れるようです。

動物に噛まれたらまず傷と傷の周囲をじゅうぶん洗浄し、どんな動物に、いつどんな状況で噛まれたかなどを病院で説明して、適切な処置をしてもらうことをお勧めします。

参考文献

Predictors of infection from dog bite wounds: which patients may benefit from prophylactic antibiotics?

Emerg Med J​.  November 2015

[PMID: 25634096]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。