きょうけんびょう
狂犬病
狂犬病ウイルスに感染した犬に噛まれることで発症する、致死率の高い疾患。日本国内での感染は近年報告されていない
8人の医師がチェック 78回の改訂 最終更新: 2018.02.28

Beta 狂犬病のQ&A

    狂犬病の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    狂犬病の原因ウィルスである、リッサウィルスが体内に侵入して感染を起こします。 リッサウィルスは哺乳類のほとんどで感染を起こします。アジア地域ではこのウィルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入することで生じる感染がほとんどです。また、極めて稀ですが、濃厚なウィルスが軌道に侵入して、粘膜感染によって発症することもあります。

    狂犬病は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    世界保健機関(WHO)によると、全世界で毎年35000-50000人が狂犬病によって死亡していると報告されています。日本国内では、1957年を最後に国内発症の感染は報告されていませんが、1970年にネパールで感染した1名と2006年にフィリピンで感染した2名の輸入例(海外で感染して日本で帰国後に発症)があります。

    狂犬病と破傷風の違いについて教えて下さい。

    双方とも傷口が微生物の侵入する窓口となっており、症状も開口障害・嚥下困難・苦笑様の顔貌が類似しています。しかし、髄液検査や脳波検査を行うと狂犬病では異常が出ることが多いのに対して、破傷風では異常が出ることは少ないです。但し、この検査も狂犬病発症直後には正常であることもしばしばあるため、注意が必要です。

    狂犬病は、他人にうつる病気ですか?

    人から人への狂犬病の感染例は、狂犬病患者からの角膜移植を除いて報告されていません。しかし、狂犬病患者に対しては接触予防に十分注意を払う必要があります。

    狂犬病は、どんな症状で発症するのですか?

    リッサウィルスに感染した場合、32-64%の人で発病します。感染から発症までの潜伏期間は咬まれた部位や侵入したウィルス量などによってまちまちですが、一般的には1-2カ月です。潜伏期間を超えると、発熱、頭痛、倦怠感、筋痛、疲労感、食欲不振、悪心・嘔吐、咽頭痛、空咳等の感冒様症状が出現します。その後、咬傷部位の疼痛やその周辺の知覚異常、筋の攣縮を伴ってきます。中枢神経の異常は、運動過多、興奮、不安狂躁から始まり、錯乱、幻覚、攻撃性、恐水発作等を呈し、最終的には昏睡状態から呼吸停止で死に至ります。狂犬病は一度発病してしまうと、致死率はほぼ100%です。

    狂犬病は、どのように診断するのですか?

     感染してから発病するまでの間に検査で診断を付けることは難しいです。そのため、動物に咬まれたことや咬まれた地域の狂犬病の発症率から狂犬病の可能性を推測していきます。

     発病後には、血液や髄液検査を行ってウィルスの存在を確認することができます。また、頭の毛根とその周囲の皮膚を用いて検査することもあります。

    狂犬病のその他の検査について教えて下さい。

    脳組織を顕微鏡検査にかけたり、遺伝子検査にかけることで調べることはできます。しかし、患者の脳を取ることは困難なため、咬んだ動物の死体を検査することがほとんどです。

    狂犬病と診断が紛らわしい病気はありますか?

    ウィルス性脳炎・破傷風・膠原病・薬物中毒(ストリキニーネやステロイド等)・アルコール中毒・統合失調症等の鑑別が必要になります。

    狂犬病の治療法について教えて下さい。

    発病してからの治療法はありません。発病してしまうとほぼ確実に死に至るので、感染が疑われたら、直ちにワクチンの接種を行います。WHOの狂犬病予防治療指針に従って、60回ワクチンを接種します。(0、3、7、14、30、90日に接種。我が国では免疫グロブリンの入手が不可能であるため、免疫グロブリンは投与できないのが現状です。)

    狂犬病では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    入院は必須ですが、前述のとおり致死率はほぼ100%ですので救命の見込みは極めて低いです。

    狂犬病に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    日本国内では気を付けることはほぼないと考えて良いです。海外の狂犬病が発症しやすい地域に行く場合は、動物に咬まれないように気を付けることが唯一の予防策となります。