あきれすけんだんれつ
アキレス腱断裂
アキレス腱が切れた状態
11人の医師がチェック 98回の改訂 最終更新: 2022.03.11

アキレス腱断裂の基礎知識

POINT アキレス腱断裂とは

アキレス腱はかかととふくらはぎの間の部分に存在する腱です。転倒やスポーツでの動作によってアキレス腱に急に無理な力が加わると、アキレス腱が断裂することがあります。断裂時に「バチン」と大きな音がする特徴があり、直後は足に体重をかけることができないので、歩行が難しいことが多いです。ただし、アキレス腱断裂が起こっても歩行が可能なことがあるので、歩行ができるからといって、アキレス腱断裂が起こっていないと断定はできません。診察によって腱の状態を調べ、必要に応じて、超音波検査やレントゲン検査、MRI検査といった画像検査を行います。治療は手術と安静にする方法(保存療法)の2つがあります。手術では、切れた腱をつなぎ直し、保存療法では安静とともに痛み止めを使います。アキレス腱断裂が心配な人は整形外科を受診してください。

アキレス腱断裂について

  • ふくらはぎとかかとの骨を結ぶ、アキレス腱が断裂した状態
  • スポーツ中などに、足首に負担がかかるような動作(ダッシュやジャンプなど)が原因で起こる

アキレス腱断裂の症状

  • 主な症状
    • 断裂時に「バチッ」という音がすることもある
    • 周囲に音が聞こえなくても、自分ではそのような感覚を覚えることが多い
    • けがの直後はそちらの足に体重をかけることができずに転倒したり、しゃがみこんだりするが、しばらくすると歩行可能となることも少なくない
    • 歩けるからといってアキレス腱が切れていないと判定することはできない
    • 歩行が可能な場合でもつま先立ちはできなくなるのが特徴

アキレス腱断裂の検査・診断

  • 腱の状態を調べる
    • 視診:皮膚の上から断裂した部分に腱のへこみや隙間が見られる
    • トンプソンテスト:うつ伏せに寝たまま膝を直角に曲げた状態で、ふくらはぎをわしづかみにする
      • 通常であれば、つま先が天井を向くように足が伸びるが、アキレス腱断裂があるとまったく反応がない
  • 場合によっては必要な検査
    • 画像検査:腱が断裂していないかなどを調べる
      • 超音波検査
      • レントゲン
      • MRI検査

アキレス腱断裂の治療法

  • 主な治療は保存療法と手術療法の2つ
    • 保存療法
      • NSAIDs:痛み止めの薬
      • ギプス固定を行ったあと、装具を使う
    • 手術療法
      • 腱を縫い合わせる手術を行ったあと、ギプス固定を行う
      • そのあとに装具を使う方法とそうでない方法がある
      • スポーツ選手などは、早期復帰を目指すため手術を行うことが多い
  • 治療後は、3-4ヶ月程度で軽い運動は可能
    • スポーツに復帰できるのは約半年程度かかる
    • 関節の動きが悪くなることや、筋力が低下することを防ぐために積極的にリハビリを進めていく
  • 応急処置方法
    • 皮下出血を軽減させるため、アイシングや足首の固定を行う
    • 必ずしもけがをした当日に受診する必要はないが、なるべく早く整形外科を受診する

アキレス腱断裂の経過と病院探しのポイント

アキレス腱断裂が心配な方

アキレス腱は、つま先立ちをするときのように、足先を伸ばすためにはたらく腱です。これが切れてしまうと足先が伸びなくなるため手術で腱を繋ぎ直す必要があります。切れた瞬間には、足を後ろから蹴られたような感じを受けたり、バチッというような音が聞こえたりすることがあります。そのような感覚の後からつま先立ちができなくなった時には、アキレス腱断裂の可能性が考えられます。アキレス腱が断裂していても不自然ながら歩くことは可能ですので、まさかアキレス腱が切れているとは思わなかった、という方も多いです。

アキレス腱を断裂したのではないかという場合には、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。ふくらはぎからかかとの部位にケガを負っている場合には、痛みがあってそもそもつま先立ちができるかどうかの判断が自分ではつかないことも多いです。整形外科や救急専門の医師であれば、腱の損傷がないかどうかということに加えて、骨折など他の病気との区別も含めて総合的に診断が可能です。

受診先としては、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります(日中は救急外来が開いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。

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アキレス腱断裂でお困りの方

診断の結果がアキレス腱断裂だった場合、手術をするかどうかが大きな治療の分かれ目になります。手術をしない場合には、ギプスをつけて自然と腱がつくのを待つこととなります。どちらの場合でも治療完了後の具合にほぼ優劣はありません。手術の方が多少早く通常生活に戻れるというメリットがありますし、手術をしない保存療法の方は傷あとが残らず入院が必要ないというメリットがあります。

手術は整形外科で行われます。病院を探す際には、整形外科専門医がいることや、年間で行われている手術の件数が(周囲の病院と比較して)少なすぎないことも一つの基準として良いかもしれません。

手術の後にはリハビリテーションを行います。リハビリの専門家である理学療法士と連携しながら進めていくことになりますので、患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところも病院を探す際に参考になるところです。

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