せん妄はどんな病気か
せん妄とは、身体の病気、薬剤、手術などが原因となって
1. せん妄ではどのような症状になるのか

せん妄の主な症状は意識障害です。ぼんやりとしてしまうほか、物忘れや幻覚などさまざまな症状が起こります。
【意識障害】
- ぼんやりする
- 話しかけても反応が乏しい
【認知機能障害】
- 見当識障害:時間や場所があやふやになる
- 記憶障害:最近のことが思い出せない
- 言語障害:話が噛み合わなかったり、それまでできた計算ができなくなる
- 視空間認知障害:物がしまえなくなったり、道具が使えなくなる
【精神的な症状】
- 睡眠障害:夜眠れない、熟睡できない
- 幻覚(特に
幻視 ):そこにないものが見えたり聞こえたりする - 感情の変化:不安になる、怒りっぽくなる
【行動の変化】
- あてもなく歩きまわる
- 激しく興奮する
せん妄になると本人が症状を訴えるのは難しくなります。そのため、家族や介護者たちが変化に気づいてあげることが重要です。もし、上記の症状に気づいた時には、早めに受診してください。
なお、せん妄と同じような症状があらわれる病気として、認知症や統合失調症などが挙げられます。それらの病気と見分けるためにも、症状があるときには医療機関に相談してください。
2. せん妄の原因とは
さまざまな病気、薬剤、手術などがせん妄の原因になります。どのような病気であっても重症のときにはせん妄になることがありますし、脱水症や
原因薬剤として多いのは、ベンゾジアゼピン受容体作動薬、
さらに、手術もせん妄の原因となりうるものです。手術をすることによって受ける精神的なストレスや身体への負担が影響すると考えられています。
3. せん妄になりやすい背景とは
せん妄の原因は前述のように多岐に渡りますが、下記のような特徴がある人では特になりやすいことがわかっています。
【せん妄が起きやすい人の特徴】
とくにせん妄になりやすいのは入院中の人です。入院中には10-30%の人にせん妄が起こると言われています[3]。中でも集中治療室に入っている人は、さらにせん妄になりやすいです。
また、不規則な生活や不快な症状もせん妄を起こしやすくすることがわかっています。
生活の乱れや運動不足
就寝時間が不規則であったり、日中に身体を動かす量が少なかったりすると、せん妄になりやすくなります。このため、規則正しい生活をし、日中に無理のない範囲で身体を動かすことがせん妄の予防策になります。寝たきりの人であれば、周りの人が日中に関節を動かしてあげると良いです。
痛み、便秘、不眠などの症状
痛み、便秘、
とはいえ、すでにせん妄を起こしている本人は症状を伝えるのが難しいものです。そのため、苦しそうな表情がないか、尿や便は定期的に出ているかなど、周りの人が注意して見てあげてください。
なお、こちらで「せん妄予防のために周りの人ができること」について詳しく説明しています。参考にしてください。
4. せん妄の検査について
せん妄かどうか調べるには
5. せん妄の治療について
原因となっている病気がみつかればその病気の治療が、原因薬剤があればその薬剤を中止することが、せん妄の治療になります。それぞれの病気の治療や薬剤の調整については医療機関に相談のうえ行ってください。ただし、原因がわかってもすぐには取り除けないこともあります。そこで、せん妄で生じる「興奮状態」や「幻覚」などの症状をさしあたり抑えるのに、リスペリドンやクエチアピンといった抗精神病薬を使うこともあります。
参考文献
・井上真一郎/著, せん妄診療実践マニュアル. 羊土社, 2019
・Delirium:prevention,diagnosis and management. National Institute for Health and Care Exelence.(2020.6.22閲覧)
・Siddiqi N, House AO, Holmes JD. Occurrence and outcome of delirium in medical in-patients: a systematic literature review. Age Ageing. 2006 Jul; 35(4): 350-64.