2015.06.21 | ニュース

術前の痛みが強いほど、術後に「せん妄」の症状が現れやすい

アメリカの研究チームが70歳以上の患者を分析
from The Lancet. Psychiatry
術前の痛みが強いほど、術後に「せん妄」の症状が現れやすい の写真
(C) agsandrew - Fotolia.com

手術後、一定期間をおいた後に錯乱状態などの精神症状が見られることを「術後せん妄」と言います。今回の研究は、術前の痛みとうつ症状が術後せん妄のリスクを増加させるか検証した結果、うつ症状がある患者は、過去7日間の術前の最大の痛みが強いほど、術後せん妄になるリスクが増すことを報告しました。

◆術後せん妄とは

手術によるストレスや使用される薬剤などが原因で起こる精神症状のことで、高齢の人に起こりやすく、1週間前後で落ち着いてくることが多いものです。

 

◆術前の痛みとうつ症状を評価し、術後せん妄との関連性を検証

今回の研究は、認知症を患っていない70歳以上の整形外科手術を受ける患者459名を対象に、以下の方法で実施しました。

術前に、対象者は直近7日間の最大の痛みと平均的な痛み、現在の痛みを0-10ポイントのスケールで報告した。

術前の痛みとうつ症状を評価し、術後のせん妄発症リスクとの関連性を分析しました。

 

◆術前の最大の痛みが強いほど術後せん妄の発症リスクが増す

調査の結果、以下のことが報告されました。

対象の23%で認められた術後せん妄の発症リスクは、術前にうつ症状がある患者でうつ症状がない患者よりも、有意に高かった(相対リスク1.6、95%信頼区間1.2-2.3)。

術前の痛みはすべての痛みの評価において、術後せん妄の調整リスクの増加と関連した(痛みスコアが1ポイント上昇するにあたり相対リスクが1.07-1.08)。

層化分析において、うつ症状がある患者は、最大の痛みスコアが1ポイント上昇するごとに、術後せん妄の発症リスクが21%増え、有意な交互作用が認められた(p=0.049)。

うつ症状、痛みのそれぞれと術後せん妄の関連性を検証すると、うつ症状がある患者、術前の痛みが強い患者は術後せん妄の発症リスクが高くなることがわかりました。

また、うつ症状がある患者においては、術前の最大の痛みが強いほど、術後せん妄の発症リスクが増えることも示されました。

筆者らは、「術前のうつ症状および痛みは個々でも相乗的にも、術後せん妄の発症リスクを高める。[...]術前の評価が必要である」と述べています。

 

整形外科医の先生方は、術後せん妄と術前のうつ症状や痛みとの関係をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

執筆者

MT

参考文献

EFFECT OF PREOPERATIVE PAIN AND DEPRESSIVE SYMPTOMS ON THE DEVELOPMENT OF POSTOPERATIVE DELIRIUM.

Lancet Psychiatry. 2014 Nov

[PMID: 25642413]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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