熱傷(やけど)の基礎知識
POINT 熱傷(やけど)とは
熱傷はいわゆる「やけど」のことで、熱によって皮膚や粘膜が傷ついた状態です。症状の程度によって、熱傷は1度から3度の3段階に分けられます(それぞれの症状は下の「熱傷の症状」を参考にしてください)。火などの高温に触れることによって熱傷は起こることが多いのですが、40度から55度位の比較的低めの温度でも熱傷は起こるので注意が必要です。熱傷になった場合は、患部を冷やしたり、軟膏を塗布したりして治療します。激しい熱傷が広範囲に起こった場合には、感染などが起こりやすいので必要に応じて抗菌薬が使われることもあります。熱傷を起こした場合は、まず患部を水道水などを使って十分に冷却し、皮膚科や内科、救急科を受診してください。
熱傷(やけど)について
熱傷(やけど)の症状
熱傷(やけど)の検査・診断
- 熱傷の診断には深さと広さそして部位が非常に重要
- 必要に応じて血液検査や尿検査など全身の状態を検査する
熱傷(やけど)の治療法
熱傷(やけど)に関連する治療薬
ポリミキシンB製剤
- 細菌の細胞膜に作用し細胞膜透過性に変化をきたすことで抗菌作用をあらわす薬
- 細菌の細胞膜は生命維持に必要な物質の透過などを行っている
- 細菌の細胞膜の透過性が変化すると細胞内の成分が放出され細菌は生きていけなくなる
- 本剤は細菌細胞膜の透過性を変化させることで殺菌的に抗菌作用をあらわす
- ポリミキシンB(散剤)は内服薬として以外に、散剤を蒸留水などに溶解し皮膚に散布するなど局所投与としても使用する薬剤
褥瘡(床ずれ)・皮膚潰瘍治療薬
- 褥瘡(床ずれ)などの皮膚潰瘍に用い、薬剤によって感染制御、壊死組織の除去、創面の修復、血管新生など作用は様々であり、創面(傷口)の状態に合わせて薬剤を使い分ける
- 褥瘡(床ずれ)は布団などと触れる部分の皮膚が長い間の圧迫での血流悪化により皮膚や筋肉などの組織が壊死する状態
- 褥瘡は創面の色調により病期が4期(黒色期、黄色期、赤色期、白色期)に分かれる
- 褥瘡の治療目標は大きく分けると「黒色期〜黄色期では壊死細胞の除去や感染制御」「赤色期〜白色期では創面の水分環境の保持・改善や保護」となる
- 褥瘡以外にも外傷、熱傷、手術の傷などの皮膚潰瘍の治療にも使用する場合もある
熱傷(やけど)の経過と病院探しのポイント
熱傷(やけど)でお困りの方
やけどを負ったら、まずは応急処置として冷たい水道水で冷やしてください。やけどの熱を取るだけでなく、冷やすことで炎症を抑えるといった意味合いもありますので、数秒間などの短い冷却では足りません。数分以上冷やして、「これ以上冷やしても痛みや体温が変わらない」と感じられた時点でやめるのが妥当でしょう。なお、氷で長時間冷やすと凍傷の原因となりますので、冷やすものは通常の水道水にとどめてください。
応急処置の後ですが、やけどの程度によって、ご自宅で対応できるものとそうでないものがあります。
■1度熱傷(皮膚が赤くなってヒリヒリする):応急処置後に特別な処置は不要です。
■2度熱傷(赤みに加えて水ぶくれができる):なるべく水ぶくれを割らないようにした方が治りが良好です。水ぶくれが割れてしまったら、毎日数回シャワーと石けんで洗って清潔にします。やけどの範囲が片腕の半分以上といったように広いものですとか、顔面や陰部のやけどなどは病院を受診することをお勧めします。受診先の診療科としては、皮膚科や外科、そして重症で入院が必要なものは救急科が適しています。
■3度熱傷(皮膚がただれて感覚が一切なくなる):自宅での対応は難しく、また後遺症を残し得るため受診が必要です。
3度熱傷の場合には、専門病院の受診が必要です。火事による全身やけどなどであれば救急車で受診することになるかと思いますが、たとえば手だけの3度熱傷などでご自身で病院を受診するときには、総合病院の救急外来をお勧めします。皮膚が再生しないくらい深いやけどの場合には、植皮手術といって他の部位の皮膚を移す手術が行われます。しかしこの手術を行っているのは皮膚科か形成外科があって、更にその中でも一部の病院に限られます。基本的にどの病院を最初に受診しても、必要あれば適切な病院を紹介してもらうことができますが、もしご自身で探す余裕がある場合には植皮手術を行っている病院であることを条件にお探しになるのが良いでしょう。