凍傷(低温障害)の基礎知識
POINT 凍傷(低温障害)とは
体温が低下しすぎたことによって起こる皮膚や皮下組織の障害のことです。凍傷になると、水ぶくれやただれ、皮膚のえぐれ(潰瘍)などが起こります。重症化すると、意識を失ったり、呼吸ができなくなることもあります。身体を温めることが凍傷の治療においては重要で、その他にビタミン剤や血行を良くする薬を使うことがあります。凍傷が疑われる場合は救急科や内科、外科、整形外科を受診してください。
凍傷(低温障害)について
凍傷(低温障害)の症状
凍傷(低温障害)の検査・診断
- 見た目や症状から診断する
凍傷(低温障害)の治療法
- 凍瘡の場合
- 体を温め血行をよくする
ビタミン Eの飲み薬、軟膏:皮膚の血行をよくする抗凝固薬 軟膏:塗った部分の血行をよくする- 漢方薬:体を温め、痛みを和らげる
- 凍傷の場合
- 温めるためのマッサージは行ってはいけない
- 急速融解法:40-42℃のお湯に入れて、組織を温める
- 神経療法:血管を拡げる
- 血液の粘度の低下を改善する薬
- 患部の挙上(
むくみ を改善する) - 細胞が死んでしまい
壊死 してしまった場合には回復は難しい- 指、耳、鼻の先などが壊死すると切断しなければならないことがある
- 全身性低体温症の場合
- 体温35℃以下の場合が問題となり、救急診療のできる病院で治療する必要がある
- 体を温める
- 2-4時間かけて1℃上げるようにゆっくり加温していく
- 呼吸循環管理
凍傷(低温障害)の経過と病院探しのポイント
凍傷(低温障害)でお困りの方
凍傷を負ったら、まずは応急処置として温めることが大切です。最初はぬるま湯で温めて、その後も40度を上回らない温度でゆっくりと加温します。最初から高温のお湯で急激に温めたり、凍傷の部位を擦ったり揉んだりするのはかえって障害を悪化させることがあるため注意が必要です。凍傷に至る前であれば手を擦ったり揉んだりして温めることはあるかと思いますが、全く感覚がなくなって変色している時には避けましょう。
凍傷の程度によって、ご自身で対応できるものとそうでないものがあります。
- 1度凍傷(加温後に皮膚が赤くなってヒリヒリする):応急処置後は特別な処置は不要です。
- 2度凍傷(加温後に腫れて水ぶくれができる):慣れている方以外は皮膚科や外科で受診して判断を仰ぐことをお勧めします。2度凍傷であると診断を受けた場合、なるべく水ぶくれを割らないようにした方が治りが良いです。割れてしまったら毎日数回シャワーと石けんで洗って清潔にします。凍傷の範囲が手のひら全体といったように広いものや、顔面の凍傷などの場合は、いずれにせよ病院を受診するのが良いでしょう。
- 3-4度凍傷(皮膚がただれたり、黒色に変色、または潰瘍ができてえぐれたりする):ご自身での対応は難しく、また後遺症を残し得るため受診が必要です。
3度以上の凍傷の場合には、専門病院の受診が必須です。ご自身で病院を受診するときには、総合病院の救急外来をお勧めします。皮膚が再生しないくらいの凍傷の場合には、デブリドマンや植皮手術といって、壊死した皮膚などを取り除く処置や、凍傷の範囲に他の部位の皮膚を移す手術が検討されます。しかしこの手術は行っている病院が限られ、特に植皮手術には皮膚科医か形成外科医が必要です。基本的にどの病院を最初に受診しても、必要あれば適切な病院を紹介してもらうことができますが、もしご自身で探す余裕がある場合には、皮膚科または形成外科のある病院、植皮手術を行っている病院、または寒冷地に位置する総合病院(凍傷の対応に慣れているため)のいずれかであることを条件にお探しになるのが良いでしょう。