橈骨遠位端骨折の基礎知識
POINT 橈骨遠位端骨折とは
手首の骨折の1つです。高齢者が手をついた時に起こることが多いです。橈骨遠位端骨折が起こると手首が腫れたり、痛みが現れたりします。画像検査(レントゲン検査やCT検査、MRI検査)によって診断が行われます。骨がずれてはいないときにはギプスによる固定で自然に治るのを待ちますが、骨のズレが大きいときには手術をして、固定を行います。橈骨遠位端骨折が心配な人は整形外科を受診してください。
橈骨遠位端骨折について
橈骨遠位端骨折の症状
- 主な症状
- 手首の痛み
- 手首の腫れ
- 手がブラブラして力が入らない
- 親指・人差し指・中指・薬指の手のひら側のしびれ
- その他の症状
- 手をついた後、フォークを伏せて置いたような形になる
- しびれが強い場合には神経の損傷が疑われる
橈骨遠位端骨折の検査・診断
- 画像検査:骨折の有無などを調べる
レントゲン 検査- 必要に応じて
CT 検査やMRI 検査で詳しく調べることもある
橈骨遠位端骨折の治療法
- 主な治療
- 骨の整復
- 骨がずれている場合、麻酔をかけて手を引っ張り骨を元の位置に戻す
- 手術またはギプス固定
- 手術:プレート固定
- ギプス固定:骨にずれが無い、もしくは整復できた場合に4-6週間の固定を行う
- リハビリテーション
- 骨折した側の肩や指が固まらないように手術後すぐにリハビリテーションを開始する
- 手首の運動は、骨の固定が良好な場合は手術後2日目から行う
- 骨の固定が不良な場合は、ギプス固定して4週間が経ってから開始する
- 動かせない期間では、手の動きを頭でイメージすることでその後の回復が早まることがある
- 骨の整復
- 長期的な経過
- 一般的に経過は良好
- リハビリテーションを行うことで、手首の働きを取り戻せることが多い
- 手術後は、骨が固定がされているかどうかで手を動かし始める時期か決まる
橈骨遠位端骨折の経過と病院探しのポイント
橈骨遠位端骨折が心配な方
橈骨遠位端骨折は、前腕(肘と手首の間)にある二本の骨のうち、橈骨という親指側の骨に起こる骨折です。遠位端というのは体から遠い側という意味ですから、橈骨のうち肘寄りではなく手首寄りの部分の骨折を指します。高齢者が転倒して思わず手をついた時に起きやすい骨折です。
強く打ったりひねったりした後から手首の近くが腫れて痛みがある場合には、この橈骨遠位端骨折の可能性があります。しかし似た症状を示す外傷には、他にも手首の靭帯損傷や尺骨骨折など様々なものがあります。ご自身でこのうちのどれかを診断するのは必ずしも容易ではありません。
実際に医療機関を受診された後は、橈骨遠位端骨折の診断は診察とレントゲンで行います。場合によってはエコーやCTを補助的に使用します。
ご自身の症状が橈骨遠位端骨折でないかと心配になった時、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。打撲や肉離れであればクリニックで対応が可能です。橈骨遠位端骨折で手術が必要そうな場合には、レントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。
受診先として、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります(日中は救急外来が開いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。
橈骨遠位端骨折でお困りの方
橈骨遠位端骨折の場合、ごく軽度の骨折であれば手術をせずにギプスシーネと呼ばれる添え木のようなもので固定して治すこともあります。それを除けば原則は手術が必要です。橈骨遠位端骨折は、診断がつき次第その場で治療が開始されますので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地は少ないかもしれません。
手術後は、あまり安静にし過ぎているとかえって関節が固まって動かしづらくなってしまうため、痛みに耐えられる範囲で早期からリハビリテーションを開始していきます。