2016.03.26 | コラム

手首の骨折のひとつ、橈骨遠位端骨折のリハビリについて解説

固定との関係とともに
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この記事のポイント

1.手首の骨折とは
2.手首の骨折の種類とは?
3.橈骨遠位端骨折後のリハビリの目的
4.橈骨遠位端骨折後はどのようなリハビリが行われるか

橈骨遠位端骨折など、手首の骨折に対しては、手術などの治療のほかリハビリも大切です。固定した場所を動かさないようにしながらほかの場所を動かすなどのリハビリによって、関節が固まることを防ぐなどの狙いがあります。

1. 手首の骨折とは

つまづいて転んでしまったとき、とっさに手をついたことはありませんか?

 

手首の骨折は、転倒や事故などで重みが手にかかったときなどに生じます。手首の骨は二本あり、親指側にある骨を橈骨、小指側にある骨を尺骨と呼びます。二本のうち橈骨は、尺骨よりもてのひら側に長い構造をもつため、てのひらからの衝撃を受けやすいことが知られています。

手首を骨折すると、手首の痛み、腫れ、変形、てのひらや指の痺れが生じます。痺れがある場合には、骨だけではなく神経も傷ついてしまっている可能性があるため、速やかに受診することをお勧めします。特に骨折した場所の皮膚が破れている場合(開放骨折)は、感染などの危険性が高く、緊急手術が必要と考えられます。

 

一口に手首の骨折といっても、折れる骨や衝撃の加わる方向によって、いくつかの種類に分けられます。以下に、手首の骨折の種類をご紹介します。

 

2. 手首の骨折の種類とは?

手首には、二本の骨があり、親指側にある太い方の骨を橈骨、小指側にある細い方の骨を尺骨といいます。手首や近い場所の骨折には、橈骨の手首側が折れる橈骨遠位端骨折、尺骨の骨折と橈骨の脱臼(関節がはずれること)が同時におこるモンテジア骨折、骨の真ん中が折れる骨幹部骨折などに分けられます。それぞれどのような骨折なのでしょうか。

 

橈骨遠位端骨折(コーレス骨折、スミス骨折など)

橈骨遠位端骨折は、骨が折れる方向などにより、さらに細かく分けられます。コーレス骨折やスミス骨折と呼ばれる骨折も橈骨遠位端骨折の一種です。

 

  • コーレス骨折

    • 橈骨が折れ、てのひら側に残った骨が手の甲側にずれた場合です。コーレス骨折がおこると、フォークを伏せて置いたような変形が生じます。この骨折は、骨が弱くなっている高齢者では特に生じやすく、若い人でも転んで手をついたときなどに見られます。

  • スミス骨折

    • 橈骨が折れ、てのひら側に残った骨がてのひら側にずれた場合です。

 

モンテジア骨折

尺骨の骨折と橈骨の脱臼(関節がはずれること)が同時に起こった場合です。

 

骨幹部骨折

橈骨遠位端骨折やモンテジア骨折は、骨の先端に近い部分が折れる骨折ですが、骨の真ん中が折れる骨折を骨幹部骨折といいます。橈骨と尺骨の両方が骨幹部で折れてしまうと、前腕が大きく変形しますが、どちらか一方だけが折れた場合は、大きな変形がみられないこともあります。

 

3. 橈骨遠位端骨折後のリハビリの目的

手首の骨折を手術などで治療した後には、手を再び使用できるようにするためのリハビリテーションが必要です。ここでは、手首の骨折の中でも代表的な橈骨遠位端骨折のリハビリテーションについてご紹介します。

 

橈骨遠位端骨折の治療では、骨折の種類などによっても違いますが、骨折部を固定するためにギプスを装着することがあります。ギプス固定中と固定後のリハビリテーションは有効であることが示されています。

ギプス固定(外固定)中のリハビリテーションは、ギプスを外したあとに関節が固まってしまうことを防ぐこと、また痛みを軽くすることを目的とします。

また、ギプスを外した後のリハビリテーションは、手首の機能の向上を目指します。専門家の指導をもとに自宅でリハビリをするよう言われることもあります。

 

では、実際にどのようなリハビリが行われるのでしょうか。

 

4. 橈骨遠位端骨折後はどのようなリハビリが行われるか

橈骨遠位端骨折に対して、骨折の種類や骨が動いている程度によっては、保存的治療(手術をしない治療)が選ばれる場合があります。保存的治療としてギプス固定を行う場合もあり、期間は場合によりますが、4-6週間程度が一般的です。

橈骨遠位端骨折後のリハビリでは、ギプスをしている時とギプスが外れた後で、行う訓練内容が異なります。手術後にも固定した場所以外を動かすなどのリハビリがあります。

 

ギプス固定中のリハビリ

ギプス固定中のリハビリは、関節が固まってしまうことを予防することと、関節が固まることで生じる痛みの予防を目的として行います。リハビリでは、固定している部分を動かさないよう、手の指や肘、肩の関節を自分で動かします。手首を固定することにより、関節のみならず、周りの筋肉や皮膚も硬くなることがあります。ギプス固定中に手首以外の関節を動かすことで、そのように硬くなることを防ぐという意味があります。

近年では、ギプス固定中に実際に手を動かさなくても、頭の中で手を動かしているようにイメージしてみたり、実際に手が動いている動画を見たりすることで、その後の回復に良い影響が出る可能性を示している研究も報告されています。また、術後に手首に振動刺激を与えることで、運動しているような錯覚を起こし、それにより痛みが改善するといった報告もあります。

 

ギプス固定後のリハビリ

ギプスが外れた後には、専門家が他動的に骨折部の関節を動かす訓練や、弱い力で行う筋力トレーニングから開始されます。リハビリの経過に伴い、生活上で手を使うために、机の上の物をつかんだり、両手で重い物をもつなど、積極的に手を動かす訓練が行われます。

こうした訓練は自宅でも行うことが出来ます。骨折したから使わないでおこうと考えるのではなく、これまで通りに手を使用することが回復への近道となるかもしれません。

 

この記事では、手首の骨折(主に橈骨遠位端骨折)のリハビリについて解説してきました。リハビリは非常に重要ですが、自分の判断で行って良いものではありません。特に手首の場合は、動かし始める期間など慎重に行うべき問題があります。専門家によく指導を受けて、回復に役立つ適切な方法を選んで行うことが大事です。

 

注:この記事は2016年3月26日に公開しましたが、2018年2月20日に編集部(大脇)が更新しました。

執筆者

NK

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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