橈骨遠位端骨折は手術後早めにリハビリを開始した方がよい?

転んで手をついたときなどに手首の骨が折れる橈骨遠位端骨折の治療は、術後の不動期間を経てその後リハビリを行うということが一般的です。今回の研究では、リハビリの開始時期によって、上肢機能にどのような効果が見られるか検証しました。
◆手術後2週間でリハビリを始める群と6週間後に始める群に振り分け
橈骨遠位端骨折の患者81人を、手術後2週間でリハビリを開始する群と6週間で開始する群にランダムに分けました。
リハビリの内容は、セラピストが患者の手首と前腕を動かすことと、筋力トレーニングを実施しました。どちらの群も、術後3から5日目から患者自身が愛護的な関節運動を行いました。
◆手術後2週間で開始した方が主観的な手の動かしやすさが改善
以下の結果が得られました。
群間のDASHスコアの差は、術後2から8週間までの各時点で、統計的に
有意 であったが(p<0.05)、有意な差は術後4週間および6週間の時点でのみ、臨床的に妥当であった。
橈骨遠位端骨折の手術後、2週間でリハビリを開始した方が、主観的な上肢機能(例えば、日常生活動作の困難さや痛みなど)が改善していたという結果でした。また、関節の動く範囲や筋力にも効果がありました。
橈骨遠位端骨折は、手の機能障害が残り、日常生活を送るうえで制限が出てしまう場合もあります。そのような状況を避けるためにも、リハビリの開始時期や方法など、知っておくことは有用かもしれません。もちろん、手術の方法や状態によって、その状況は変わりますので、詳しくは医師に相談することをおすすめします。
執筆者
Accelerated rehabilitation compared with a standard protocol after distal radial fractures treated with volar open reduction and internal fixation: a prospective, randomized, controlled study.
J Bone Joint Surg Am. 2014 Oct 1
[PMID: 25274787]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。