前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)の基礎知識
POINT 前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)とは
前腕(肘と手首をつなぐ骨)の骨折です。転んで前腕を強く打ち付けたときや、前腕を挟まれたときにに起こります。前腕(肘と手首をつなぐ骨)は橈骨と尺骨という2本の骨によって成り立っており、橈骨と尺骨の2本とも折れることもあれば、片方だけが折れることもあります。前腕骨骨折が起こると、骨折部の痛みや腕の変形、あざ(皮下出血)といった症状が現れます。レントゲン検査によって診断が行われ、それでもはっきりと骨折がわからない場合は、CT検査はやMRI検査が行われます。症状の程度によって治療法が変わり、基本的には安静にして骨がくっつくのを待ちますが、骨のずれがひどい場合には、手術を行うこともあります。前腕骨骨折が疑われる場合には整形外科を受診してください。
前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)について
- 肘と手首をつなぐ2本の骨(
橈骨 と尺骨 )のいずれかが折れている状態 - 前腕は小児、成人ともにさまざまな外力によって骨折を生じやすい
- 主な原因
- 転んで手をつく
- 何かにはさまれてひねる
- 強打する
- 腕をひねる
- 橈骨と尺骨が2本とも折れる場合や、片方が折れてもう一方が脱臼する場合もある
- 尺骨のうち、肘関節の近くが骨折するものを
肘頭骨折 と呼ぶ
- 尺骨のうち、肘関節の近くが骨折するものを
前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)の症状
- 骨折部の痛み
- 安静にしていても動かしても非常に強い痛みが表れる
- 折れている可能性が少しでもある場合は、医師に診てもらうまで固定する
- 骨折によっては腕がまっすぐでなく変形する場合がある
皮下出血 (青あざ)症状 に伴い、日常生活では受傷した腕を使うことはできなくなり
前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)の検査・診断
- まず行う検査:骨折や脱臼の有無を確認
レントゲン 検査
- 次に行う可能性のある検査:術式の決定や骨折の状態を詳しく調べるために行う
CT 検査
MRI 検査- 必要に応じてで
靭帯 の損傷がないか調べる
- 必要に応じてで
前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)の治療法
- 主な治療
- 神経や血管が傷ついておらず、また関節から離れている場合は手術を行わないことが多い
- ギプスを巻いて、4-6週間安静にして骨がくっつくのを待つ
NSAIDs :痛み止めの薬
- 手術を行うことが多い場合
- 骨折箇所が関節に近い
橈骨 と尺骨 が両方とも折れている- 神経や血管が傷ついている
- 肘や手首の関節に近い部位での骨折では、ずれて癒合すると関節の動きが損なわれて後遺症を残すことがある
- 手術後にリハビリテーションが必要に成る
前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)の経過と病院探しのポイント
前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)が心配な方
前腕骨骨折は、前腕(肘と手首の間)にある橈骨と尺骨という二本の骨に起こる骨折の総称です。橈骨だけ、尺骨だけ、両方、と様々なパターンがあります。種類によって小児から高齢者まで幅広く見られる骨折です。
強く打ったりひねったりした後から前腕が腫れて痛みがある場合には、この前腕骨骨折の可能性がありますが、それ以外にも打撲から肉離れ(筋断裂)まで様々な外傷があります。骨が明らかに曲がっていればわかりますが、そうでなければご自身でこのうちのどれかを診断するのは必ずしも容易ではありません。
ご自身の症状が前腕骨骨折でないかと心配になった時、まずは整形外科のクリニックや、お近くの救急外来を受診されることをお勧めします。打撲や肉離れであればクリニックで対応が可能です。前腕骨骨折で手術が必要そうな場合には、レントゲンやその他行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。
実際に医療機関を受診された後は、前腕骨骨折の診断は診察とレントゲンで行います。場合によってはエコーやCTを補助的に使用します。
受診先として、総合病院の救急外来は相対的に待ち時間が少ないというメリットもある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります(日中は救急外来が開いていないこともあります)。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多く(待ち時間が長く)、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。
前腕骨骨折(橈骨骨折、尺骨骨折)でお困りの方
前腕骨骨折の場合、ごく軽度の骨折であれば手術をせずにギプスで固定して治すこともあります。それを除けば原則は手術が必要です。前腕骨骨折は、診断がつき次第その場で治療が開始されますので、どこでどのような治療を受けるかを迷う余地は少ないかもしれません。
手術後は、あまり安静にし過ぎているとかえって関節が固まって動かしづらくなってしまうため、痛みに耐えられる範囲で早期からリハビリテーションを開始していきます。