でんせんせいこうはん(りんごびょう)
伝染性紅斑(りんご病)
風邪のような症状に加えて、顔や腕、脚の皮膚が赤くなる感染症。
12人の医師がチェック 105回の改訂 最終更新: 2018.07.25

伝染性紅斑(りんご病)の症状にはどんなものがある?

伝染性紅斑(りんご病)にかかるとりんご病という名前の由来である両頬の紅斑だけでなく、手足の紅斑、関節痛、発熱や頭痛などの症状が出ます。大人がかかると様々な皮疹が出たり関節痛が多く出たりします。それ以外にも浮腫やしびれ、貧血など多彩な症状が出ます。

1. りんご病に潜伏期間はある?

りんご病の原因ウイルスであるパルボウイルスB19に感染すると、血液中でウイルスが増殖し5-10日後にピークになります。この時点では何も症状は出ないか、発熱や鼻水、筋肉痛などインフルエンザのような症状だけが出ます。そこからさらに2-5日後に皮疹や関節痛などの症状が現れます。

つまり、潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)としては、発熱などの症状が出るまでが5-10日、皮疹が出るまでが1-2週間(最大で3週間)です。

2. りんご病によくある症状

りんご病の原因ウイルスであるパルボウイルスB19に感染した人のうち、25%は何も症状が出ません(不顕性感染)。50%は発熱や鼻汁、筋肉痛などインフルエンザのような症状だけが現れます。そして残りの25%が皮疹や関節痛などりんご病に特徴的な症状が現れます。

りんご病の症状は数週間で良くなることが多いですが、まれに数か月間から数年間続くこともあります。

皮疹

パルボウイルスB19に感染すると75%に皮疹が出ます。

皮疹が出るのは、感染してから1-2週間後(最大で3週間後)です。皮疹が出る頃には他人への感染力はなくなっています。

まず両方の頬に平手で打たれたような紅斑(皮膚の赤みで圧迫すると消えるもの)が現れます。この両頬の紅斑がりんごのように赤いことから、りんご病と呼ばれます。ただし頬に紅斑が出るのは20%以下で、りんご病にかかったら必ずしも出るとは限りません。

頬に紅斑が出た2-3日後に、腕の外側や足の前側に小さな紅斑が現れます。腕や足の紅斑は次第にくっついていき中心部分から消えていくので縁取りが残りレースのような網目模様になり、りんご病に特徴的な皮疹となります。胸やお腹、背中などにも紅斑が出ることがあります。

皮疹は1週間前後で後を残さずに消えますが、一度消えた皮疹がもう一度出ることがあります。気温の変化や、日光照射、運動、ストレスなどで皮疹が出やすくなります。

大人がパルボウイルスB19に感染した場合には、このようなりんご病に特徴的な皮疹が出ずに様々な形態の皮疹が出ることがあります。風疹麻疹のような皮膚の盛り上がった紅斑、水疱(水ぶくれ)、かゆみや痛みを伴う皮疹などバリエーションは多彩です。口の中などの粘膜にも皮疹が出ることがあります。

発熱・頭痛

パルボウイルスB19への感染から5-10日後、皮疹の出る2-5日前に、発熱や頭痛、鼻水、咳、吐き気、下痢などインフルエンザにも似た区別しにくい症状が出ることがあります。この時期には他人への感染力があります。咳やくしゃみで飛ばされる水滴(飛沫)を吸い込んだり、手で触れて口や鼻の中に入ったりすることでうつります。この時期には本人も周りもりんご病にかかっていることに気づいていないことが多いので、住んでいる地域でりんご病が流行しているときは手洗いやうがい、マスクの着用で感染を予防してください。

発熱や頭痛などの症状は2-3日で良くなります。

関節痛

子どものりんご病で関節痛が出るのは10%と少ないですが、大人、特に女性がりんご病にかかると最も多くみられる症状が関節痛です。皮疹が出ずに関節痛だけが出たり、皮疹より先に関節痛が出ることもあります。

関節痛は急激に左右対称に現れます。手や手首、膝、足の関節が痛み、関節炎を起こすためにこわばり(関節の動かしにくさ)がみられます。こわばりは朝の起床時に最も強く、関節を動かしているうちに徐々に軽減してきます。

関節痛は3週間以内に(多くが1-2週間で)改善することが多いですが、まれにもっと長く続いたり、良くなった後に再発したりすることがあります。

歩行障害

膝や足に関節炎を起こすと関節がこわばり歩きにくくなることがあります。歩きにくさは朝の起床時に最も強く感じられ、動かしているうちに徐々に軽減してきます。

その他の症状

りんご病では皮疹や関節痛以外にも様々な症状が出ることがあります。血液や血管、心臓、腎臓、肝臓、脳など様々な臓器に影響を及ぼし、むくみやしびれ、貧血など多彩な症状が現れることがあります。

3. 妊婦がりんご病になったらお腹の赤ちゃんに出る症状

妊婦がりんご病にかかるとまれにお腹の赤ちゃんに影響を及ぼすことがあります。妊娠中にりんご病にかかると2-5%で流産や死産の原因になります。妊娠中にりんご病になった人のうち20%で胎盤を通してお腹の赤ちゃんに感染します。そのうちの20%でお腹の赤ちゃんが胎児水腫貧血を起こしますが、りんご病にかかった妊婦の4%と非常にまれです。

一度りんご病にかかると抗体ができもう一度かかることは基本的にはありません。そのため、妊娠前からりんご病の抗体を持っている人は通常、妊娠中にもりんご病の心配は要りません。妊婦の中でりんご病の抗体を持っている割合は35-53%です。残り47-65%の抗体をもっていない妊婦は、妊娠中にりんご病にかかることがあります。妊娠中にりんご病にかかるのは全妊婦の3-4%ですが、保育園や幼稚園、学校の先生などでは感染するリスクが高くなります。

今までりんご病にかかったことのない妊婦、特に保育園や幼稚園、学校などで働いている人は感染に注意が必要です。りんご病の感染力があるのは頬などに皮疹が出る前で、何も症状が出ていないか、発熱などほかの病気でもよくある症状だけが出ている時期なので、本人や周囲もりんご病にかかっていると気が付かないうちに周りにうつす可能性があります。りんご病は咳やくしゃみなどを介して感染するため、住んでいる地域や働いている地域で流行している時は手洗いやうがい、マスクの着用で感染を予防してください。

妊娠中のりんご病は発育異常の原因になるか?

お腹の赤ちゃんがりんご病にかかっても、胎児水腫にならなければ発育に異常を来たすことはありません。

胎児感染(胎児水腫)

妊娠中にりんご病になった人のうち20%で胎盤を通してお腹の赤ちゃんに感染します。そのうちの20%(りんご病にかかった妊婦の4%、全妊婦の0.12-0.16%)でお腹の赤ちゃんが胎児水腫(全身のむくみで胸やお腹にも水が貯まった状態)や貧血を起こします。妊娠早期(特に妊娠20週以内)にお腹の赤ちゃんがりんご病にかかるとこのような問題が起こることが多くなり、妊娠後期(妊娠28週以降)ではかなり少ないと言われています。妊婦がりんご病に感染してから数週間後(3週間前後)に胎児水腫が明らかになることが多いです。

胎児水腫になると数日から数週間以内にお腹の赤ちゃんの死亡につながることもあれば、自然と改善し正常な新生児として出産されることもあります。胎児水腫が改善して生まれた子どもが、後に運動能力や知的能力に障害を起こしやすくなるという明らかな証拠はありません。