ぜんしんせいえりてまとーです(えすえるいー)
全身性エリテマトーデス(SLE)
本来なら身体を守ってくれる免疫のシステムが自分自身を攻撃してしまい、全身に様々な症状を起こす病気
13人の医師がチェック 150回の改訂 最終更新: 2025.10.06

全身性エリテマトーデスとは?

全身性エリテマトーデスとは免疫の異常により身体が攻撃され、発熱などの全身症状や、皮膚、肺、心臓、腎臓、脳・神経など体のさまざまな部位に障害が起きる病気です。

全身性エリテマトーデスは英語ではSystemic lupus erythematosusとなります。難しく長い名前ですのでSLE(エスエルイー)という略称やループス (lupus)という名前で呼ばれることがあります。ループスとはラテン語で狼(おおかみ)の意味です。全身性エリテマトーデスでは狼に噛まれたような特徴的な発疹が出現することからこのように呼ばれています。

全身性エリテマトーデスでは免疫の異常により身体が攻撃され、全身に多様な症状が現れます。例を挙げます。

  • 発熱

  • だるさ

  • 体重減少

  • 発疹

  • 関節の痛み

  • 尿の泡立ち

  • 気分の落ち込み

病気の初期からあらわれる症状としてはだるさ、関節や腫れ、発疹などが多いです。

全身性エリテマトーデスは女性に多い病気です。女性は男性の9倍多く発症すると言われており、年齢別に見ると20-40代の方に多いとされます。日本の全身性エリテマトーデスの患者数は7-10万人程度と考えられています。

1940年代には全身性エリテマトーデスの生存率は40%程度であると言われていました。しかしながら、全身性エリテマトーデスという病気の認識が広がり、早い時期から治療を開始できるようになったことにより、近年では全身性エリテマトーデスの5年生存率は95%以上になっています。それでも死亡率は一般人口と比較すると未だに高いです。感染症、腎臓の病気(腎障害)、心臓や血管の病気などが死亡につながる原因として多いです。このため、感染症の予防、腎臓に負担をかけないような生活、動脈硬化の予防などへの取り組みが重要です。

参考文献:Arthritis Care Res (Hoboken). 2014 Apr;66(4):608-16. 

全身性エリテマトーデスは免疫の異常により起こる病気です。免疫とはウイルス細菌などの外敵や異物が体の中に入ると排除する体の中のシステムのことです。免疫は通常、外敵や異物だけを攻撃し、自分の体は攻撃しないように制御されています。しかしながら、免疫に対する制御が上手く働かなくなり、免疫が自分の体を攻撃することで全身性エリテマトーデスは起こると考えられています。ただ、そのくわしいメカニズムに関しては分かっていない部分も多いです。

全身性エリテマトーデスの検査では血液検査、尿検査、レントゲンCTMRIなどの画像検査、生検などが行われます。血液検査では全身性エリテマトーデスで現れる抗体や他の病気を疑わせる異常を確認します。全身性エリテマトーデスでは腎臓が攻撃されて機能が低下することがあります。腎臓は機能が低下しても、初期には症状があらわれにくいので、定期的に尿検査を行い、腎臓への影響の程度を調べます。

病気の身体への影響を詳しく調べる検査に生検という方法があります。生検とは体の一部の組織を取ってきて顕微鏡で何が起こっているかを確認する検査です。全身性エリテマトーデスでは組織を攻撃している細胞や抗体が組織に沈着している様子が確認されます。全身性エリテマトーデスで生検が行われることが多い場所としては腎臓と皮膚があります。

全身性エリテマトーデスは免疫の異常により起こる病気です。そのため、全身性エリテマトーデスの治療においては、免疫をコントロールする治療を行います。具体的にはステロイドや免疫抑制薬などの薬を用います。

治療の最初は効果がすぐ現れるステロイドを中心に用います。ステロイドは副作用にも注意が必要な薬です。多い量を長期間使用することで副作用も現れやすくなります。免疫抑制薬を使いながら、なるべくステロイドの量が多くならないように治療します。

ステロイドの副作用については「ステロイド内服薬の副作用とは」で詳しく説明しているので参考にして下さい。