2018.01.31 | ニュース

既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスにベリムマブが有効

中国、日本、韓国の患者を対象に
from Annals of the rheumatic diseases
既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスにベリムマブが有効の写真
(c) johndwilliams - Fotolia.com

全身性エリテマトーデスの治療にはステロイド薬などが使われますが、薬を使っても効果不十分となる人もいます。中国・日本・韓国で、ベリムマブという薬を使う治療の研究が行われました。

治療中だが疾患活動性のある患者に対するベリムマブの効果

中国・日本・韓国で行われた、全身性エリテマトーデスに対するベリムマブの研究の結果が、専門誌『Annals of the Rheumatic Diseases』に報告されました。

全身性エリテマトーデス免疫の異常により自分の体が攻撃され、発熱などの全身症状や、皮膚、肺、心臓、腎臓、脳・神経などの障害が起きる病気です。治療にはステロイド薬や免疫抑制薬などが使われ、薬を続けることで症状がない状態(寛解)を維持することが目標とされます。しかし、薬を使っていても症状など病気の勢い(疾患活動性)を止めきれない場合があります。

この研究は、薬を使って治療を30日以上続けているけれども、疾患活動性がある人(SELENA-SLEDAIのスコアが8以上)を対象として、ベリムマブの効果を試しています。

ベリムマブは以前の研究結果に基づいてヨーロッパやアメリカで承認されていますが、そこで得られたデータの中で北東アジアの患者は少数でした。北東アジアの患者についてさらに多くの情報を得るため、中国・日本・韓国でこの研究が行われました。

707人の対象者がランダムに2グループに分けられ治療を受けました。

  • ベリムマブを点滴するグループ
  • 偽薬を点滴するグループ

どちらのグループでも、ステロイド薬などの標準的な治療に加えてベリムマブまたは偽薬の点滴が行われました。

効果判定のため、各臓器に著しい悪化がないこと・全身状態の悪化がないこと・症状や検査値が改善すること(SELENA-SLEDAIのスコアの低下が4以上)を複合的に評価する「SRI」という基準が使われました。SRIに一定の目標以上の改善があった人の割合を2グループで比較しました。

 

ベリムマブを使うほうが治療応答が多い

52週の治療によって次の結果が得られました。

52週時点で、SRI4応答率は偽薬群よりもベリムマブ群のほうが高かった(53.8% vs 40.1%、オッズ比1.99、95%信頼区間1.40-2.82、P=0.0001)。

52週の時点で、目標を満たす改善があった人はベリムマブのグループで53.8%、偽薬のグループで40.1%となり、ベリムマブのグループのほうが目標達成が多くなりました。

治療に関連する症状などの副作用は、偽薬のグループで23.4%、ベリムマブのグループで28.9%の人に現れました。副作用として上気道感染、帯状疱疹、鼻咽頭炎細菌性尿路感染、咳などがありました。

 

ベリムマブは全身性エリテマトーデスの新たな選択肢に?

全身性エリテマトーデスをほかの薬で治療していても症状などがある北東アジアの患者で、ベリムマブの効果を確かめた研究を紹介しました。

ベリムマブは日本では2017年9月に点滴静注用の製剤と皮下注射用の製剤が承認され、現在使用可能となっています。ほかの薬を使っても症状などが続く人で、ベリムマブの使用を考える際には、研究データを参照することで、効果や副作用について見通しを持つことができます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A pivotal phase III, randomised, placebo-controlled study of belimumab in patients with systemic lupus erythematosus located in China, Japan and South Korea.

Ann Rheum Dis. 2018 Jan 2. [Epub ahead of print]

ベンリスタ点滴静注用120mg/ ベンリスタ点滴静注用400mg 添付文書

[PMID: 29295825]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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