2016.04.09 | ニュース

新薬研究中に帯状疱疹が発生、副作用か

全身性エリテマトーデス431人の研究から

from Annals of the rheumatic diseases

新薬研究中に帯状疱疹が発生、副作用かの写真

帯状疱疹はウイルスが潜伏感染している人の免疫が弱くなったときに発症します。さまざまな原因がありますが、ほかの病気の治療も原因になりえます。全身性エリテマトーデスの治療薬の研究中に帯状疱疹が発生した例を紹介します。

◆SLEを新薬で治療

この研究は、全身性エリテマトーデス(SLE)という、免疫の異常による病気の治療として、新薬のシファリムマブの効果と安全性を調べたものです。

SLEは、免疫の異常により自分自身の正常な組織が攻撃されてしまうことで起こります(自己免疫疾患)。治療には異常な免疫の作用を抑える薬が使われます。

中等度から重症のSLEの患者431人が対象となり、標準的な薬物治療に加えて、毎月1回のシファリムマブの注射を受けるグループと、偽薬の注射を受けるグループに分けられました。

52週間の治療後に、評価基準に沿って効果が比較されました。

 

◆効果はあったが副作用も

次の結果が得られました。

偽薬と比べて、シファリムマブ治療(すべての用量)を受けた患者ではより大きい割合で一次エンドポイントが達成された(偽薬群:45.4%、200mg群:58.3%、600mg群:56.5%、1,200mg群:59.8%)。

一定基準以上の改善が、偽薬を使ったグループよりも、シファリムマブを使ったグループで多くの人に見られました。

副作用の可能性があることとして、以下のことが報告されました。

深刻な有害事象は偽薬群の患者の17.6%、シファリムマブ群の患者の18.3%に起こった。帯状疱疹の感染がシファリムマブ治療によってより多く発生した。

偽薬を使ったグループでも、同時に使っていた薬の副作用やほかの理由によって17.6%の人に深刻な症状などが発生していました。対してシファリムマブを使ったグループではその割合が18.3%でした。シファリムマブを使ったグループのほうが帯状疱疹が多く発生しました

 

この研究では新薬の副作用の可能性があることとして帯状疱疹が挙げられましたが、SLEのような自己免疫疾患の治療では免疫を抑える薬が使われるため、帯状疱疹を含む感染症の危険性には常に注意が必要とされます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Sifalimumab, an anti-interferon-α monoclonal antibody, in moderate to severe systemic lupus erythematosus: a randomised, double-blind, placebo-controlled study.

Ann Rheum Dis. 2016 Mar 23. [Epub ahead of print]

[PMID: 27009916]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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