しきゅうたいがん(しきゅうないまくがん)
子宮体がん(子宮内膜がん)
子宮の内側を覆っている子宮内膜からできるがん。子宮内膜がんとも言われる。
8人の医師がチェック 167回の改訂 最終更新: 2026.02.16

子宮体がんのステージと生存率、リスク分類について

子宮体がんと診断された後には、進行度(ステージ)を調べるために画像検査が行われます。ステージは治療法の決定やその後の経過の見通しのために重要です。ここでは、ステージと治療法・生存率との関係について説明します。

1. 子宮体がんのステージについて

子宮体がんのステージは4つに別れ、数字が大きくなるほどがんが進行した状態を示します。ステージの概略は以下の通りです。

【子宮体がんのステージ(病期分類)】

■ステージI(I期)

  • がんが子宮体部にしかない状態

■ステージII(II期)

  • がんが子宮体部を超えて子宮頚部に広がった状態(子宮の外には出ていない)

■ステージIII(III期)

  • がんが子宮外に広がっているが骨盤を超えて外には広がっていない状態、または骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節転移がある状態

■ステージIV(IV期)

  • がんが骨盤を超えて別の部位へ広がるか膀胱または腸粘膜を侵す状態、または遠隔転移のある状態

ステージは治療法と生存率に密接に関わっています。その関係について詳しく説明します。

2. 子宮体がんのステージと治療法について

ステージを決める目的の1つが、最適な治療法を選ぶことです。ここでは、それぞれのステージごとの治療について説明します。なお、手術や抗がん剤治療放射線治療の詳細は「こちらのページ」で説明しているので、参考にしてください。

ステージI

ステージIではがんが子宮体部にとどまっており、周りに広がっていません。ステージIの治療は手術によって子宮と付属器(卵巣と卵管)を摘出することです。後述しますが、ステージIで治療ができれば90%を超える5年生存率が望めます。

治療(子宮と付属器の摘出)によって高い生存率が望めますが、子宮や卵巣を取り除くので妊娠ができなくなります。ステージIで妊娠を希望する人の中には、一定の条件を満たせば子宮と卵巣を残す方法を選べる人がいます(条件については「こちらのページ」を参考)。妊娠の可能性を残した治療は、子宮体部の内側の粘膜を全面的に削り取り(子宮内膜全面掻爬)、その後、数ヶ月間に渡ってホルモン療法を行う方法です。妊娠できる可能性が残りますが、子宮が残っているために、再発することが多く、複数回治療が必要になったり、最終的に子宮摘出が必要になることがあります。

ステージII

ステージIIはがんが子宮体部にはとどまらず周りに広がっています。具体的には、子宮頸部という子宮体部とつながった所までがんが及んでいますが、明らかな転移はありません。 ステージIIの主な治療は手術です。ステージIと同様に、手術で子宮と付属器(卵巣と卵管)が摘出されます。手術後には摘出した子宮を調べてがんの広がりや性質が評価され、必要に応じて再発予防のために放射線治療もしくは抗がん剤治療が行われます。

なお、ステージIとは異なり、子宮を残す治療(子宮内膜全面掻爬とホルモン療法の併用)が行われることはほとんどありません。

ステージIII

ステージIIIは子宮の外にがんが広がっています。リンパ節に転移をしていることもあれば、隣あった臓器に広がっていることもあります。ステージIIIの治療ではステージIやIIと同様に手術によって子宮と付属器(卵巣と卵管)が摘出されます。また、広がったがんを可能なかぎり摘出するために、リンパ節や隣り合った臓器の一部が摘出されます。手術後に、再発の可能性が高い人には再発予防として放射線治療や抗がん剤治療が行われます。

ステージIV

ステージIVはがんが膀胱や直腸まで広がった(浸潤した)状態または、遠く離れた場所に転移をした状態です。いずれの場合も、まず子宮と付属器が摘出が検討されますが、がんが取り切れないと判断される人には抗がん剤治療が勧められることもあります。また、子宮に隣り合った膀胱や直腸などにがんが広がっている場合には可能な範囲で摘出され、状況に応じて、人工肛門や人工膀胱(回腸導管)が必要になります。 人工肛門や人工膀胱については「大腸がんの詳細情報ページ」や「膀胱がんの詳細情報ページ」を参考にしてください。ステージIIやIIIと同様に、手術後は抗がん剤治療や放射線治療が行われます。

3. 子宮体がんのステージごとの生存率について

子宮体がんのステージごとの生存率を下に示します。

【子宮体がんのステージごとの5年生存率(実測)】

ステージ 5年生存率(%)
ステージI 92.1
ステージII 84.8
ステージIII 64.0
ステージIV 21.0

早期で見つかるほど、5年後に生存していた人が多いです。ステージが分かると、それにともなって生存率の具体的な数値が目に入るようになります。生存率は確かに気になるものですが、あくまでも過去の治療実績の結果なので、現在の治療を受けている患者さんに当てはまるとは限りません。

また、身体の状態は一人ひとりで異なるので、生存率をそのまま当てはめて考えることはできません。健康状態がよくて十分な治療を受けられたために、平均的な人より長く生存できる人は少なくありません。

生存率は確かに気になる数値ですが、気にしすぎることはありません。治療に前向きに取り組むことや日常生活を充実させることに目を向けることの方が大切です。

4. 子宮体がんのリスク分類について

ステージ以外の評価方法としてリスク分類があります。ここで出てくるリスクとは再発する可能性のことを指しています。子宮体がんのリスク分類は次の3段階に分けられます。

【子宮体がんのリスク分類】

  • 低リスク
  • 中リスク
  • 高リスク

低リスクは再発の可能性が最も低いグループであるのに対して、高リスクは再発の可能性が最も高いグループです。リスク分類は主に2つの要因で決まります。一つ目の要因はがんの広がりです。がんが筋肉の層まで達していたり、さらに進んで脈管(リンパ管・血管)にまで及んでいると、再発のリスクが高くなることが分かっています。二つ目の要因はがん細胞の種類です。漿液性がんや明細胞がんは、類内膜がんより再発リスクが高いことが分かっています。
細かい条件まで理解する必要はありませんが、リスク分類は、手術後に追加治療(抗がん剤治療・放射線治療)を行うべきかどうかの判断材料として重要であることを知ってください。リスク分類によって、再発リスクを推測することができることを知っておくと、お医者さんからの話がより理解しやすくなります。
追加治療の詳細については「こちらのページ」を参考にしてください。

参考文献

・がん研究振興財団「がんの統計’24
・日本婦人科腫瘍学会/編, 「子宮体がん治療ガイドライン2018年版」, 金原出版, 2018
・国立がん研究センター内科レジデント/編, 「がん診療レジデントマニュアル」, 医学書院, 2016
・日本産科婦人科学会/編集・監修, 「産婦人科研修の必修知識2016-2018」, 2016
・National Comprehensive Cancer Network, Inc., 日本婦人科腫瘍学会/監訳,  「NCCNガイドラインー子宮体がん