子宮頸がんの検査について
子宮頸がんの人に行われる診察や検査には、主に2つの目的があります。1つは「子宮頸がんかどうかの診断すること」、もう1つは「子宮頸がんの
1. 問診
【子宮頸がんを疑われる人が受ける質問の例】
- 症状について
- どんな症状を自覚するのか
- 自覚症状はいつからあるのか
- 症状が軽くなったり重くなったりすることはあるのか
- 月経(生理)について
- 生理を初めて経験したのは何歳か
- 妊娠や出産は何回経験したか
- 妊娠・出産について
- 持病や過去にかかった病気について
- 内服歴について
- 血縁者の病気について
子宮頸がんは無症状のうちに
2. 身体診察
お医者さんが患者さんの身体の状態を直接くまなく調べることを身体診察と言います。身体診察を行うことで、患者さんの身体に起こっている異変を把握しやすくなります。
「視診(身体の外見を観察すること)」や、「触診(身体を触って痛みの有無や硬さを調べること)」「
子宮頸がんが疑われる人には
3. コルポスコープ検査
コルポスコープは拡大鏡の一種です。子宮頸部の粘膜表面を拡大して観察することで、がんが疑われる部分を見つける際に役立ちます。コルポスコープで観察することをコルポ診と呼ぶことがあり、結果はその後
4. 病理検査
病理検査とは身体の細胞や組織を一部取り出して顕微鏡で観察する検査です。細胞レベルで確認できるので、肉眼でみるよりがんの有無を判断しやすくなります。病理検査には「
細胞診
がん細胞には「形がいびつ」、「核(細胞の真ん中にある構造物)が大きい」といった正常な細胞にはない特徴があります。細胞診では、ブラシの付いた綿棒のようなものを膣から挿入して子宮頸部の表面の細胞をこすって取り出します。この細胞に薬で色をつけて異常の有無を観察します。細胞診は子宮頸がんが疑われる人に加えて、子宮頸がん検診でも行われます。検診では20-69歳を対象に2年毎の細胞診検査が推奨されています。
組織診
組織診では、がんが疑われる部分を小さく切り出され、細胞診と同じく薬品で色をつけて顕微鏡で観察されます。細胞診でがんが疑われた人が対象になり、細胞診より取り出される組織の量が多いので、診断に十分な情報が得られます。このため、組織診の結果をもとにして子宮頸がんの診断が確定されます。
組織診はコルポスコープでがんが疑われる場所を探しながら行われます。疑わしい箇所が見つかれば、その部分をつまみだしたり、切り取ったりします。この方法は狙いを定めて組織を取り出すことから「狙い組織診」と呼ばれます。出血や痛みがありますが、外来で受けることができます。痛みや出血は数日で気にならなくなりますが、長引くときには検査を受けた医療機関で相談してください。
5. ウイルス検査(HPV-DNA)
子宮頸がんの多くは
6. 画像検査
画像検査は身体の中の状態を画像化することができ、がんの広がりを調べるのに適しています。画像検査にはいくつか種類があり、それぞれで目的が異なるので個別に説明します。
超音波検査(エコー検査)
■経膣超音波検査
経膣超音波検査は親指くらいの太さの棒状の機械(プローブ)を膣から挿入して行われます。後述する経腹超音波検査に比べて、子宮や卵巣などを詳細に観察できます。膣からプローブを挿入する際に痛みを伴うことがありますが、超音波による痛みはありません。プローブを挿入する際に潤滑剤を使うなど痛みに対する配慮はされていますが、痛みを感じるときには遠慮なく伝えてください。
■経腹超音波検査
お腹にプローブを当てて検査が行われます。経膣超音波検査に比べると子宮頸部がはっきりと見えないこともありますが、その一方で、腹部全体を見渡せる利点があります。具体的に言うと、経膣音波検査では見るのが難しい、肝臓や血管の周りの
CT検査
また、より詳細に調べるために
MRI検査
CT検査と同様により詳しく調べるために、造影剤を注射して検査を行うことがあります。MRI検査で使う造影剤はCT検査で用いるものとは異なりますが、CT検査と同様に「腎臓の機能が低下している人」には使うことができません。腎臓の病気を治療中の人や機能が低下していると言われている人はその旨をお医者さんに伝えてください。
MRI検査のより詳しい説明は「こちらのコラム」を参考にしてください。
参考文献
・日本婦人科
・国立がん研究センター内科レジデント/編, 「がん診療レジデントマニュアル(第7版)」, 医学書院, 2016年
・日本産婦人科学会,日本産婦人科医会/編, 「産婦人科