急性胆管炎の基礎知識
POINT 急性胆管炎とは
肝臓で作られた胆汁が胆のうから十二指腸へ流れる道を胆管といいます。急性胆管炎は胆管の中で細菌が繁殖し感染を起こした状態で、たいていの場合胆汁の流れが悪くなっています。主な症状は、発熱・腹痛・吐き気・黄疸(皮膚や目の黄染)です。急性胆管炎の診断をつけるために医療機関で行われる検査は、血液検査や画像検査です。治療は胆管ドレナージ(胆管内のチューブを入れて胆汁の流れを良くする治療)と抗菌薬が使われます。また、食事をすると胆汁がさらに作られてしまうことでうっ滞が悪化するため、最初は絶食とします。検査や治療は専門的なものになるため、消化器内科や消化器外科のある医療機関を受診して下さい。
急性胆管炎について
急性胆管炎の症状
- 主な
症状 - 発熱
- 腹痛(上腹部痛)
- 吐き気
- 食欲不振
急性胆管炎の検査・診断
- 血液検査と画像検査の両方が必要
- 血液検査:
炎症 が起こっていないかなどを調べる - 画像検査:
胆管 の炎症がないかや胆石がないかなどを調べる腹部超音波 (エコー )検査腹部CT検査 - 場合によっては、引き続き
MRI 検査(MRCP)を行うこともある
- これらの検査で胆管のサイズが大きくなっていることや、胆管の内部に胆石があることが確認できると胆管炎と診断される
急性胆管炎の治療法
胆管 炎の治療の基本は、以下の3つに大きく分けられる- 胆管
ドレナージ :詰まった胆管にチューブを入れ、胆汁の流れを良くする処置 抗菌薬 - 食事止め:代わりに栄養の点滴を行う
- 胆管
- 胆管ドレナージには、2つの方法がある
- 特殊な
胃カメラ を使用する処置 (ERBD)- 胃カメラを胃の先の十二指腸まで進める
- 十二指腸から胆管にチューブを入れ、胆汁の流れを良くする
- 場合によっては、チューブを入れる際に詰まった石を直接砕いたり、取り除いたりすることができる
- お腹から針を刺し、胆管内にチューブを入れる処置 (PTBD)
- 超音波を当てて位置を確認しながら、肝臓の中の胆管に針を刺す
- その針からワイヤーを入れて、針とチューブを入れ替えることで、処置の後もチューブが入ったままにしておく
- チューブから、胆汁とその中で繁殖した
細菌 を排出させ、症状 が改善したらチューブは抜く
- 特殊な
急性胆管炎の経過と病院探しのポイント
急性胆管炎が心配な方
急性胆管炎は発熱や吐き気に腹痛、特に右上腹部の痛みがみられます。このような症状が急激に出現して心当たりのある方は、消化器内科や消化器外科の受診をお勧めします。入院治療が必要となるため、クリニックではなく病院で診療を受けることになりますが、診断が急性胆管炎かどうかを確かめる意味も含めて、まずはお近くのクリニックにかかるのも良いでしょう。
急性胆管炎の診断は腹部エコーまたはCTで行います。治療の一環としてERCPと呼ばれる内視鏡の処置(詳しくは後ほど解説します)が必要になることが多いため、診断が確定してから治療を受ける上ではERCPの設備がある病院が適しています。
急性胆管炎でお困りの方
急性胆管炎の治療では、抗生物質の点滴とドレナージと呼ばれる処置が大きな二本柱になります。いずれの治療も内科(消化器内科)が行うこともあれば、外科(先述のいくつかの外科)が行うこともあります。病院によって「この病気はどちらの科が担当」と、それぞれ担当が決まっていることが多いです。中には、抗生物質だけであれば内科、ドレナージが必要になれば外科といったように、処置の必要性で診療科を分けている病院もあります。
ドレナージ処置にはいくつかの種類があります。内視鏡(胃カメラのような検査で、治療を兼ねた処置)を用いて胆管までチューブを通したり胆管の出口を切って広げたりする治療(ERCPやESTと呼ばれます)や、お腹から胆管に向かって針を刺してチューブを通す治療(PTBD)を行います。
急性胆管炎のドレナージ処置は、診断がつけばその場で緊急で行われることが多いです。平日の日中であれば良いのですが、土日祝日や夜間は院内に残っているスタッフが少ないため、緊急で手術を行える病院と、そうでない病院があります。ある程度の規模の病院や、外科手術の手術件数が多い病院の方が、時間外の緊急手術により迅速に対応できるところが多い傾向にあります。