検査部位
平衡感覚
対象疾患
メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、小脳や
概要
身体が傾いているかという感覚を平衡感覚と呼び、平衡感覚が障害されるとふらつきやめまいの原因になります。平衡感覚には
メリット
- 平衡障害の有無、程度、原因、治療経過、治療効果を調べるのに有用である
デメリット
- 検査によってはめまいやふらつきを誘発するものがある
詳細
身体が傾いているかという感覚を平衡感覚と呼び、平衡感覚が障害されるとふらつきやめまいの原因になります。平衡感覚には三半規管、目、脳などさまざまな場所が関わっており、平衡感覚の障害がどの場所の異常によるものかを把握することは治療法を検討する上で非常に重要です。平衡機能検査は平衡感覚に関わるさまざまな検査を行うことで、平衡感覚の異常が三半規管、目、脳のどの場所の異常によるものか調べます。
平衡機能検査には、大まかにわけて身体の平衡を調べる検査と目の動きを調べる検査があり、以下のような検査が挙げられます。
- 身体の平衡を調べる検査
体平衡機能検査 (静的)- じっとしているときに体のバランスが保たれているかどうかを調べる
- 体平衡機能検査(動的)
- 動いているときに体のバランスが保たれているかどうかを調べる
- 目の動きを調べる検査
眼振 検査- 眼振(意識とは関係なしに目が動くこと)があるかどうかを観察する
- 迷走刺激検査
以下でそれぞれの検査について詳しく説明していきます。
体平衡機能検査(静的)
じっとしているときに体のバランスが保たれているかどうかを調べる検査で、さまざまな検査方法があります。それぞれの検査の流れは下記のようになっています。
どの検査も目を開いた状態、閉じた状態の両方で行いますが、目を閉じたときのみに障害があれば末梢神経系の障害が疑われ、どちらの状態でも障害があれば中枢神経系の障害が疑われます。
【両脚直立検査】
- 目を開いた状態、閉じた状態でそれぞれ1分ほど直立する
- 体の揺れがあるか、転倒することがあるかなどを観察する
【Mann検査】
- 両足を前後に一直線上にして、均等に体重をかけて直立する
- 目を開いた状態、閉じた状態でそれぞれ30秒ほど直立する
- 足の前後の順番を変えて同様に検査を行う
- 体の揺れがあるか、転倒することがあるかなどを観察する
【単脚直立検査】
- 片足で直立する。もう一方の足は太ももが水平になるように持ち上げる
- 目を開いた状態、閉じた状態でそれぞれ30秒ほど直立する
- 直立するほうの足を変えて同様に検査を行う
- 体の揺れがあるか、転倒することがあるかなどを観察する
【重心動揺検査】
- 重心動揺計の測定台の上に立つ
- 目を開いて視線の2-3m先にある視標を見たまま、1分ほど直立する
- 少し休憩をはさみ、目を閉じた状態で1分ほど直立する
- 重心動揺計により重心がどのくらい移動しているかが測定・記録される
体平衡機能検査(動的)
動いているときに体の平衡が保たれているかどうかを調べる検査で、さまざまな検査方法があります。それぞれの検査の流れは下記のようになっています。どの検査も目を開いた状態、閉じた状態の両方で行いますが、目を閉じたときのみに障害があれば末梢神経系の障害が疑われ、どちらの状態でも障害があれば中枢神経系の障害が疑われます。
【足踏み検査】
- 足元に描かれた同心円の中心に立つ
- 上肢を前方に伸ばし、手のひらを下に向ける
- 目を開いて太ももが水平になるくらいまで足を上げて、足踏みの練習をする
- 目を閉じて(ふさいで)、同様に50-100歩足踏みをする。これを3セット行う
- 体の揺れがあるか、転倒することがあるかなどを観察する。また、終了時と開始時を比べて、どれくらい体の向きが変わったか、どれくらい移動したかなどを測定する
【歩行検査】
- 目を開いて、6m直線上を前進、後退する練習をする
- 目を閉じて(ふさいで)、同様に直線上を前進、後退する。これを3セット行う
- 体の揺れがあるか、転倒することがあるかなどを観察する。また、終了時と開始時を比べて、どれだけ斜めにずれたかを測定する
【書字検査】
- イスに腰掛ける
- ペンを片手に持ち、先端のみが紙に触れるようにする。ペンを持たない手は膝の上に置く。目を開いて、A4くらいの紙にペンで4-5字の文字・記号を書く
- 目を閉じて(ふさいで)、同様に文字・記号を書く
- 目を開いた状態で書いた文字・記号と、目を閉じた(ふさいだ)状態で書いた文字・記号を比べ、ずれを測定する
眼振検査
意識とは関係なしに目が動くことを眼振と言います。正常範囲を超える眼振があった場合、平衡機能障害が疑われます。眼振を調べる検査は複数あり、それぞれの検査の流れは以下の通りです。
【注視眼振検査】
- 視線の50cm先にある視標(指やペン)を両目で注視する
- 視標を上下左右の位置に固定し、それぞれ30秒以上注視する
- 垂直方向、水平方向に視標が動くので、それを目で追う
- 眼振があるかどうかを観察する
【自発眼振検査】
- 座った状態で、何も注視していないときに眼振があるかどうかを観察する
【頭位眼振検査】
- 座った状態で、正面を向いているとき、頭を左右前後に曲げたときのそれぞれにおいて眼振があるかどうかを観察する
- 仰向けになった状態で、天井を向いているとき、顔を左右に向けたときのそれぞれにおいて眼振があるかどうかを観察する
- 肩に枕を入れるなどして頭を垂れた状態で、正面を向いているとき、顔を左右に向けたときのそれぞれにおいて眼振があるかどうかを観察する
【頭位変換眼振検査】
- 頭を垂れた状態から座った状態になるまで頭を動かして、そのときに眼振があるかどうかを観察する。逆に、座った状態から頭を垂れた状態になるまで頭を動かすこともある
- 顔を左または右に向けたまま、頭を垂れた状態から座った状態になるまで頭を動かして、そのときに眼振があるかどうかを観察する。逆に、座った状態から頭を垂れた状態になるまで頭を動かすこともある
迷走刺激検査
【温度眼振検査(カロリックテスト)】
耳の奥には三半規管という平衡感覚をつかさどる場所があります。耳に水が入ると三半規管の中にある液体(リンパ液)に流れが生じてめまいが起きます。温度眼振検査では、水を耳に入れることでわざとめまいを生じさせますが、このとき、眼振が現れにくかったり、左右で反応に差があった場合、異常が疑われます。
- 仰向けになり、枕の上で頭を斜めに向けるような体勢をとる
- 片耳に冷水を入れる(例:10秒間で20°Cの水5mL)
- 10秒ほど経ったら、仰向けで天井の方を真っ直ぐ見る
- これを左右の耳で行い、それぞれ眼振があるかどうかを観察する
検査を受ける際の注意点
- 目の動きを調べる検査を行うときには、眼鏡は外してもらうことがあります。コンタクトレンズを使用する際にもまばたきが検査の妨げになることがあります。眼鏡やコンタクトレンズの使用に関しては、医師や看護師に相談してみてください。
- 平衡機能検査の中にはめまいやふらつきを誘発するものがあります。医師とよく相談してから行ってください。