のどのいたみ
喉が痛い(数日以内)

喉が痛い(数日以内)の基礎知識

概要

のどの痛みの大半はかぜ、すなわちウイルスの感染によるものです。多少の痛みはあっても問題なく飲食ができて、他に強い症状がなければ様子をみて構いません。

一方で、細菌の感染により喉がひどく腫れて窒息しかけている、重要な血管が急に裂けたり詰まった、というような重症の人もいます。

38度以上の発熱が何日も持続している、息苦しさが強い、水や唾液を飲み込めない、秒単位で発症を特定できるほど急激で強い痛みがある、などは危険なサインのため、医療機関を受診してください。主な診療科は耳鼻咽喉科、一般内科、小児科などです。症状が強い人は、夜間休日に救急科での診察となるかもしれません。COVID-19流行による受診制限などもあるので、事前に電話で問い合わせて受診してください。

原因とメカニズム

のどの痛みの大半は、かぜが原因です。ウイルスによるかぜ急性上気道炎とも呼ばれます。ウイルスが鼻や咽頭、喉頭、気管支などに感染し、炎症を起こします。特に咽頭炎喉頭炎でのどが痛くなります。

ウイルスではなく細菌による炎症では、かぜよりものどの痛みが強く、高熱が出やすいです。特に食べ物や水、唾液を飲み込むときの痛みが強いです。

他によくあるのどの痛みの原因としては、魚の骨がのどに刺さっていることや、高齢者の入れ歯が一部欠けてのどに引っかかっていること、などがあります。こうした異物は、子どもの場合はわかりにくいことも少なくありません。

考えられる病気

大半の原因はかぜ、すなわちウイルス感染ですが、他にも多くの原因でのどの痛みが起こります。

かぜ(ウイルス性上気道炎)

ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルスパラインフルエンザウイルスなどが喉に感染して痛みを起こします。例外はあるものの、原則的には自然によくなるものがほとんどで、特効薬は乏しいです。そのため、数日単位で様子をみて、自然に良くなるのを期待するのが基本的な対応です。

細菌性咽頭炎・扁桃炎

喉に炎症を起こす微生物は基本的にはウイルスであり、特効薬は乏しいです。一方で、細菌が喉に感染することもあります。細菌感染がある人では、高熱が何日も続いたり、喉の痛みがひどかったり、ウイルス感染よりも症状が強くなりがちです。細菌感染に対しては抗菌薬/抗生物質が有効であり、使用により早く治癒することが期待できます。

咽頭異物

魚の骨など異物が喉に刺さったり、喉を塞いだりする状態です。子どもや認知症のある高齢者などでは診断が難しいことも少なくありません。異物を除去してもらうのは一般的な内科では難しく、耳鼻咽喉科が専門となります。

亜急性甲状腺炎

30-40歳代くらいの女性に多い病気です。首の前面にある臓器、甲状腺が腫れてきて痛みを伴います。熱が出ることも少なくありません。いわゆる「のどの痛み」とは部位がやや異なりますが、風邪と区別がつきにくいことも少なくありません。

怖い病気

のどの痛みの多くはかぜによるものです。一方で、受診が遅れると命に関わる危険な病気もあります。

急性喉頭蓋炎

喉頭蓋は飲食物が気管/肺の方に行かないようにふたをしてくれている構造物です。喉頭蓋に細菌などが感染して腫れると、気管に空気が入らなくなり窒息する恐れがあります。水や唾液すら飲み込めないほど、のどの痛みがある人は急性喉頭蓋炎になっている可能性もあります。

扁桃周囲膿瘍

喉の奥にある口蓋扁桃に細菌が感染し、を作ってしまった状態です。やはり腫れが酷くなると、気管に空気が入らなくなり窒息する恐れがあります。水や唾液すら飲み込めないほど、のどの痛みがある人は扁桃周囲膿瘍になっている可能性もあります。

動脈解離、心筋梗塞

急性大動脈解離椎骨動脈解離、心筋梗塞など、大きな血管が裂ける/詰まるといったトラブルを起こしたときにも、急激なのどの痛みを自覚することがあります。のどの痛みだけが出ることは多くありませんが、秒単位で発症を特定できるような、急激で強い痛みの場合はこういった病気の可能性もあります。

受診の目安

以下のようなときは、危険な病気の可能性があるので、速やかな受診が必要です。

・水や唾液も飲み込めないほど喉が痛いとき
・38度以上の発熱が丸3日以上続いているとき
・息苦しさが強いとき
・秒単位で発症を特定できるほど急激で強いのどの痛みがあるとき

診療科

喉の痛みで困っている人が受診する診療科は、耳鼻咽喉科、内科、小児科です。症状が急であり、夜間休日の受診になってしまう場合には、救急外来の受診もやむを得ません。しかし、基本的には救急外来は応急処置を行う場なので、しっかりと継続的に診てもらうには平日の日中に耳鼻咽喉科、内科、小児科などを受診した方がよいです。

内科、小児科

のどの痛みの原因の大半は、風邪です。この場合には大人は内科、子どもは小児科で対応可能です。

耳鼻咽喉科

喉の様子を特に専門的に診ているのは耳鼻咽喉科です。喉の症状が主体であれば、耳鼻咽喉科を受診するのが最も望ましいです。必要に応じて喉頭ファイバーという胃カメラより細いカメラを鼻から入れて、のどの様子を観察することもできます。

上記の受診の目安に挙げたような危険な症状がある人は、いきなり救急科や大病院を受診してもよいと考えられます。いずれにしても早く診てもらえる医療機関を受診してください。そうではない人は、紹介状や割り増し受診料が必要になったり、待ち時間が長くなるため、いきなり大病院を受診することはお勧めできません。

検査

喉の痛みに関連した検査には、以下のようなものがあります。

視診

ペンライトなどで、のどの様子を観察します。舌圧子という木の板で舌を押さえつけて、喉をよりよく見えるようにすることもあります。手軽にできる診察ですが、得られる情報量は多くないので、感染対策の問題などで行われないこともあります。

X線(レントゲン)検査

のどそのものはレントゲン検査ではあまり詳細に写りません。急性喉頭蓋炎で喉頭蓋が腫れていると分かることがあるので、そちらのチェックを目的として行なわれることがあります。また、肺炎合併をチェックするために胸部を撮影されることもあります。

CT検査

のどの様子を輪切りの写真で確認することができます。そのため、扁桃周囲膿瘍急性喉頭蓋炎、動脈解離などを診断することができます。やや大掛かりな検査なので、軽症の人には通常は行われません。

血液検査

直接診断に結びつくことは多くありませんが、全身の状態をさまざまな検査項目で把握することができます。また、亜急性甲状腺炎の人では甲状腺ホルモン値に異常がみられます。

喉頭ファイバー検査

耳鼻咽喉科でよく行われる検査です。鼻から細い内視鏡を入れることにより、鼻からのどまでをしっかり観察することができます。

治療

原因の病気がはっきりとしている人では、その病気の治療が最も大切です。風邪の人は、自然に時間をかけて改善を待つのが基本です。のどの痛みそのものを抑える目的では、痛み止めやトラネキサム酸などがよく処方されます。トローチで保湿を図ることもあります。

セルフケア

・乾燥させない(部屋の保湿、マスク、のど飴)
・なるべく声を使わない
・休養をとる

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