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転移がある大腸がんにアフリベルセプトは最初から使っても効くのか?
236人の治療で検証

from Annals of oncology : official journal of the European Society for Medical Oncology


転移がある大腸がんにアフリベルセプトは最初から使っても効くのか?の写真

写真はイメージです。本文の内容とは関係ありません。 (C) Africa Studio - Fotolia.com


大腸がん転移がある場合、治療は抗がん剤が有力です。アフリベルセプトによる大腸がんの治療は海外で普及していますが、日本では最近まで一般には使われていません。効果を調べた研究を紹介します。

国際的な研究により、転移がある大腸がんに対してアフリベルセプトの効果を調べた結果が専門誌『Annals of Oncology』に報告されました。

この研究では、転移がある大腸がんの患者で、以前に抗がん剤治療を受けていない人に対して最初に使う治療(ファーストライン)として、アフリベルセプトを既存の抗がん剤治療に加える効果を調べています。

大腸がんの抗がん剤治療では、複数の薬剤を組み合わせる治療法がよく使われます。FOLFOX療法、FOLFIRI療法などが代表的な組み合わせです。ここではFOLFOX療法をもとにしたmFOLFOX6療法に加えて、さらにアフリベルセプトも使うことで治療効果が増すかを検討しています。

236人の患者が対象となりました。対象者はランダムに2グループに分けられました。

  • mFOLFOX6療法で治療するグループ
  • mFOLFOX6療法にアフリベルセプトを加えて治療するグループ

 

治療によって次の結果が得られました。

無増悪生存期間の中央値はアフリベルセプト/mFOLFOX6群で8.48か月(95%信頼区間7.89-9.92)、mFOLFOX6群で8.77か月(95%信頼区間7.62-9.27)だった。アフリベルセプト/mFOLFOX6対mFOLFOX6のハザード比は1.00(95%信頼区間0.74-1.36)だった。

アフリベルセプトを使ったグループと使わなかったグループで、がんが進行することなく生存する割合に統計的な違いが見られませんでした

アフリベルセプトを使ったグループ、使わなかったグループともに、副作用の疑いがある症状などで入院治療が必要な程度のものとして、以下が発生しました。

研究班は「一次治療のmFOLFOX6にアフリベルセプトを加えることで、効果は増加せず、より高い毒性と関連した」と結論しています。

 

転移がある大腸がんに対してアフリベルセプトを試したデータを紹介しました。

がん治療薬としてのアフリベルセプトは、海外ではEUやアメリカなど多くの国で承認され使用されています。

日本ではアフリベルセプトを有効成分とする製剤のザルトラップ®が、2017年2月3日の薬食審医薬品第二部会で「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果として承認了承されました。

 

転移のある大腸がんがオキサリプラチンを使った化学療法のあと進行した場合に、FOLFIRI療法にアフリベルセプトを加えることで生存率が改善したことが以前に示されています

その一方で、ここで紹介した結果は、アフリべルセプトの効能・効果に含まれる状況のうちでも、転移がある大腸がんに対して最初に使う薬物療法として、mFOLFOX6にアフリベルセプトを加えることを支持するには不十分です。

 

抗がん剤治療の選択肢は多いほうが、より個々人に合った薬を選べる可能性が広がります。状況に応じて適した薬のリストを作れるようになっていることは大切です。アフリベルセプトの出番を探る上で、こうしたデータを参考にすることができます。

◆参照文献

Oxaliplatin and 5-FU/folinic acid (modified FOLFOX6) with or without aflibercept in first-line treatment of patients with metastatic colorectal cancer: the AFFIRM study.

Ann Oncol. 2016 Jul.

[PMID: 27091810 ]

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