閉経後の女性に対するアバロパラチドの効果
アバロパラチドの効果を調べた研究を紹介します。
アバロパラチドは、骨の量を調節している副甲状腺ホルモンに似た働きをすることで、骨を強くするための薬として作られました。
骨がもろくなった状態(骨粗鬆症)では骨折しやすく、特に背骨(脊椎)が上下に押し潰されるような形で骨折する「椎体骨折(ついたいこっせつ)」がよく起こります。椎体骨折は人によって、痛み、猫背になる、身長が縮むなどの症状を現します。
この研究では、閉経後の女性2,463人(平均年齢69歳)が対象となり、ランダムに3グループに分けられました。
- アバロパラチドを毎日注射するグループ
- 既存薬のテリパラチドを毎日注射するグループ
- 偽薬を毎日注射するグループ
18か月にわたって治療が行われ、グループごとに骨折の頻度などが比較されました。
アバロパラチドで椎体骨折が減少
次の結果が得られました。
形態計測的椎体骨折が新たに発生した頻度は偽薬群よりも実治療群で少なかった。
偽薬のグループと比べて、画像検査で判定された椎体骨折がアバロパラチドのグループで少なくなりました。
アバロパラチドで「骨折知らず」になれるか?
アバロパラチドが椎体骨折を減らしたというデータが得られました。今後骨粗鬆症の治療にアバロパラチドが加わるかもしれません。
ただし、骨粗鬆症の薬はすでにいろいろな種類のものがあります。この研究ではアバロパラチドを毎日注射する方法が試されましたが、半年に1回の注射で効果を現すとされるデノスマブなどもすでに使われています。
アバロパラチドが効果や使い方の面でどの程度優れているかは今後の検証が待たれる点です。
また、骨折予防のためには転倒防止も大切です。高齢者が転んで骨折し、寝たきりになってしまうことは非常に多くあります。
運動や住居の改修などの転倒対策も含めて、骨折を予防する取り組みの中で、新薬をうまく使っていくために、効果を示すデータが役に立ちます。
執筆者
Effect of Abaloparatide vs Placebo on New Vertebral Fractures in Postmenopausal Women With Osteoporosis: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2016 Aug 16.
[PMID: 27533157]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。