2021.01.19 | コラム

男性5人のうち1人にみつかる「精索静脈瘤」とは!?  不妊症や陰嚢の違和感の原因にも

無症状な人もいます

男性5人のうち1人にみつかる「精索静脈瘤」とは!?  不妊症や陰嚢の違和感の原因にもの写真

精巣静脈瘤とは精巣(睾丸)の周りの血管がこぶ状に膨らむ病気です。精巣から心臓に戻る血液の流れが滞ることによって起こります。あまり聞いたことがない人が多いかもしれませんが、陰嚢(いんのう)の違和感や不快感の原因となったり、不妊症の原因となることがあります。

実は多くの男性に精索静脈瘤がみつかる

精索静脈瘤は成人男性を調べてみると15%から20%にみつかります。高い頻度にも関わらず病名に馴染みがないのは、特に問題を起こさないことが多いからかもしれません。一方で、これから説明する症状や男性不妊の原因となることがあるので、頭の片隅においてほしい病気の一つだと考えています。

 

精索静脈瘤の症状の特徴

陰嚢や鼠径部(足の付け根)の鈍痛や不快感の原因になり、陰嚢にしこりができる人がいます。また、仰向けになると症状が和らぐことや、左側に症状が出やすいのも特徴の一つとして知られています。症状の程度は軽いことが多く、長年に渡って悩んでいる人も少なくありません。

 

精索静脈瘤と男性不妊症の関係

違和感や不快感といった自覚しやすい症状以外にとても大きな問題があります。それは男性の不妊です。精索静脈瘤による血流の滞りが、精子の運動率や濃度に悪影響を与えると考えられています。そのため、精子の質の改善を図り妊娠する可能性を高める目的で精索静脈瘤の治療が検討されます。ただし、精索静脈瘤がある人全員に治療が必要なわけではありません。精子の状態に影響がない場合は経過観察が選ばれることもあります。不妊で悩んでいる人は一度パートナーと一緒に受診して、この病気についても調べてもらうと良いかもしれません。

 

精索静脈瘤の治療

精索静脈瘤の主な治療は手術です。逆流の原因となっている精巣静脈を縛って切り離すと、周囲の血管に血液が流れて血流がスムーズになり、治癒が期待できます。手術法にはいくつか種類があり、それぞれに長所と短所があります。詳しく知りたい人は「こちらのページ」を参考にしてください。

 

今回は精索静脈瘤について簡単に説明しました。もし、陰嚢の違和感や男性不妊症の悩みがある人がいたら、その原因が精索静脈瘤である可能性は少なからずあると考えられます。デリケートな部位だけに受診のハードルは高いかもしれませんが、思い当たる節がある人は泌尿器科で相談してみてください。治療によって悩みが解決する可能性がありますし、原因がはっきりすると気持ちが楽になるかもしれません。

男性の病気のコラムですが、男性にも女性にも読んで欲しい内容です。

 

参考文献

・赤座英之/監修. 標準泌尿器科学. 医学書院, 2014

・Robert C Eyre. Nonacute scrotal conditions in adults. UpToDate (最終更新2020.6.16)

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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