2020.05.12 | コラム

思春期の男子と保護者に知って欲しい精巣捻転症という病気

急ぎの受診が必要な病気です
思春期の男子と保護者に知って欲しい精巣捻転症という病気の写真
(c)adragan-stock.adobe.com

新型コロナウイルスの流行によって、医療機関での感染リスクを案じて、普段より受診の敷居が高くなっているようです。いつもの風邪のような症状など、しばらく様子を見てよいものもありますが、中には急いで受診してほしい病気もあるので、その特徴を知っておくとためになります。
今回は、ためらわず受診して欲しい病気の中から、あまり知られていない「精巣捻転症」について紹介したいと思います。

精巣捻転症とはどのような病気か?

精巣は俗に「玉」と呼ばれ、陰嚢の中にあります。精子や男性ホルモンを作っており、精巣に栄養や酸素を送る血管にぶら下がるようにして陰嚢の中に収まっています。陰嚢の底にある精巣導帯という構造物とくっついており、自由に動かないようになっています。 本来は固定されている精巣がなんらかの原因で回転してしまう病気を精巣捻転症といいます。精巣の回転によって、精巣とつながっている血管にもねじれが起きて必要な栄養や酸素が届かなくなります。そのままにしておくと、精巣の機能が失われてしまうので、できるだけ早く治療しなければならない病気なのです。

精巣捻転症

精巣捻転症は多感な時期に多い病気

精巣捻転症は思春期の男子に多く見られる病気です。精巣捻転症を経験した人のうち、60%から70%が思春期に発症しており、特に13歳から14歳に多いとされてます。

 

陰嚢の激しい痛みから見つかることが多いが腹痛や吐き気にも注意

精巣捻転症のほとんどは症状をきっかけにしてみつかります。代表的な症状は陰嚢の痛みや腫れです。痛みは急激で激しい場合が多いです。これらは症状としてイメージしやすいかもしれません。

一方で、意外な症状もあります。実は精巣捻転症ではしばしば腹痛や吐き気が見られます。そして、陰嚢の痛みや腫れより先に現れることが少なくありません。腹痛や吐き気があって様子を見ていたところに、陰嚢に痛みや腫れが現れ始めたら精巣捻転症の可能性があります。

 

精巣捻転症の治療は急を要する

精巣捻転症治療は6時間以内に受けることが望ましいと考えられています。精巣捻転症は短時間のうちに悪化し、手遅れになると精巣の機能が失われてしまいます。精巣が助からなかった場合は、もう一つの精巣が残っているとはいえ、男性不妊症になる可能性が高まります。

 

言い出しにくい病気だからこそ親子で正確な知識を持っておきたい

急ぎの治療が必要な精巣捻転症ですが、受診が遅れるケースが後を絶ちません。筆者は「デリケートな部位の病気であること」と、「思春期に起こること」にその理由があると考えています。そこで最後は、保護者に向けたメッセージで締めくくりたいと思います。

精巣捻転症が疑われる状態であっても、思春期の男子は受診が遅れやすいと言われています。筆者も、恥ずかしくて限界まで痛みを我慢したため、もう少しで精巣を失いかけた患者さんを診たことがあります。多感な時期であるため、打ち明けづらいのかもしれませんが、なるべく早く受診させたいものです。 そこで、羞恥心を和らげる方法として、親子で病気の知識を共有しておくことをおすすめします。なぜならば、正しい知識が羞恥心に打ち勝つ力を与えてくれると思うからです。デリケートな部位の病気だけに、親子間の話題にするにはハードルが高いのですが、家で一緒に過ごす時間が多いこの時期に、ぜひチャレンジしてみてください。予め「こんな病気があるみたいよ」と頭出しするようば伝え方が良いかもしれません。

 

なお今回は精巣捻転症の重要な部分にフォーカスして説明しました。より網羅的で深く掘り下げた情報は「精巣捻転症の詳細情報」を参考にしてください。

 

執筆者

斎木 寛

参考文献

・日本泌尿器科学会, 「急性陰嚢症診療ガイドライン」, 金原出版, 2014

・赤座 英之/監,「標準泌尿器科, 」医学書院, 2014

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。