2018.01.25 | ニュース

根絶が近いギニア虫症、2017年前半の報告は1か国だけに

各国協力でさらなる対策へ
from MMWR. Morbidity and mortality weekly report
根絶が近いギニア虫症、2017年前半の報告は1か国だけにの写真
(c) Harvepino - iStock

ギニア虫症は、アフリカ大陸に分布する寄生虫の感染症ですが、根絶が間近と考えられています。2017年の1月から6月には前年よりさらに少なく、8人の患者が1か国でだけ見つかっていたことが報告されました。

CDCからギニア虫症根絶に向けた報告

アメリカの疾病管理予防センター(CDC)と非営利法人のカーター・センターの研究班が、CDCの広報誌『Morbidity and Mortality Weekly Report』で、ギニア虫症の全世界根絶に向けた活動の、2016年初から2017年6月までの概況を報告しました。

ギニア虫症は汚染された水を介して感染するギニア糸状虫(Dracunculus medinensi)による病気です。ギニア糸状虫は人間の体内で1年ほどかけて成長し、痛みなどを起こし、足などの皮膚に穴を開けて外に出てきます。

ギニア虫症により死に至ることはほとんどありませんが、痛みなどで生活が妨げられることがあります。

1980年代以降、現在もカーター・センターやCDCがギニア虫症根絶を目指す活動を続けています。

 

2017年1月から6月の報告は1か国8人のみ

ギニア虫症は、1986年にはアフリカとアジアのおよそ20か国で、合計350万人ほどに発症していたと推計されています。

以後の対策により患者数はごく少なくなり、今回の報告によれば、2016年の1年間には3か国で合計25人の患者が報告されました(チャド16人、南スーダン6人、エチオピア3人)。

そのうち2016年1月から6月には3か国で合計10人(チャド4人、南スーダン4人、エチオピア2人)が報告されましたが、2017年1月から6月の報告数はチャドのみ8人でした。

チャドでは2012年以来、ギニア糸状虫が感染した犬が多数見つかっています。CDCとカーター・センターは、チャドのシャリ川の漁業と関連して、寄生虫を持つ魚やカエルなどを犬や人が生で食べることで感染が起こっていると考え、魚を食べる前によく加熱することや犬に魚の内臓を食べさせないことなどを呼びかけています。

2016年1月から6月には感染した犬の報告数は653頭でしたが、2017年1月から6月には537頭に減りました。

最近までギニア虫症の患者が見つかっていたエチオピア、マリ、スーダンでも、感染した動物を報告したり捕らえたりすることに報酬を出すなどの対策が行われています。

 

根絶に向けて続く努力

根絶が近いとされるギニア虫症とその対策の様子を紹介しました。

2018年の現在まで、人類が根絶を達成した感染症天然痘だけです。ほかにポリオがパキスタン・アフガニスタンなどを残して根絶に近付きつつあり、麻疹は南北アメリカ地域では排除されているなどの進歩がありますが、いまだ国境を超えて広がる恐れから、日本でも予防接種が続けられています。

チャドではギニア虫症の報告がない状態が10年続いたあと2010年に再燃した歴史があります。最近報告がない国でも、水道設備が不十分な地域で池や川の水をそのまま飲まないなどの対策は欠かせません。

ギニア虫症の報告が減ってきたことは明るいニュースです。地道な努力が、近い将来に大きな成果をもたらすかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Progress Toward Global Eradication of Dracunculiasis, January 2016-June 2017.

MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2017 Dec 8.

[PMID: 29216028]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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