2017.12.04 | ニュース

肺がんの薬タグリッソは最初から使っても効くのか?

556人の治療で検証

from The New England Journal of Medicine

肺がんの薬タグリッソは最初から使っても効くのか?の写真

肺がんの治療で、オシメルチニブ(商品名タグリッソ®)はほかの薬が効かない場合に使われています。つまり2番目以降に使う薬です。その現状に対して、最初からオシメルチニブを使っても効果があるかどうかが検討されました。

未治療でEGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞がんに対するオシメルチニブ

世界各国の施設が参加して行われた「FLAURA研究」の結果が、医学誌『The New England Journal of Medicine』に報告されました。

FLAURA研究は、以下の条件すべてに合う人を対象としています。

  • 進行した、または転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いのある非小細胞肺がんがある
  • 根治目的の手術または放射線治療主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法が適していないと思われた
  • 以前にがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある治療を受けていない
  • がん細胞に特定のEGFR遺伝子変異がある

EGFR遺伝子変異とは、がん細胞が持っている遺伝子の特徴を指します。特定のEGFR遺伝子変異がある場合、ゲフィチニブ(商品名イレッサ®)やエルロチニブ(商品名タルセバ®)などの薬剤を使える可能性があります。

しかし、ゲフィチニブやエルロチニブを使っているうちにがん細胞がさらに変化し、「T790M遺伝子変異」を獲得することで効きにくくなることがあります。

オシメルチニブはゲフィチニブやエルロチニブと似た働きを持っていますが、T790M遺伝子変異があることが使用条件のひとつです。つまり、オシメルチニブは従来、ゲフィチニブやエルロチニブを使ったあとで使う薬とされています。

FLAURA研究は最初からオシメルチニブを使うことを試しています。

556人が対象となり、ランダムに2グループに分けられました。

  • ゲフィチニブまたはエルロチニブを使うグループ
  • オシメルチニブを使うグループ

効果判定のため、がんが進行することなく生存した期間を比較すると決められました。

 

進行なく生存した期間が延長

治療の結果、ゲフィチニブまたはエルロチニブのグループでは、半数の人が10.2か月以上、がんが進行することなく生存しました。対してオシメルチニブのグループでは、半数の人が18.9か月以上、がんが進行することなく生存しました

オシメルチニブのグループのほうが死亡または進行が遅くなると見られました。

副作用やその他の原因による有害な出来事のうち、入院が必要な程度以上のものは、ゲフィチニブまたはエルロチニブのグループで45%、オシメルチニブのグループで34%の人に現れました。

 

オシメルチニブは最初から使ってもいい?

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対して最初からオシメルチニブを使う研究を紹介しました。

オシメルチニブがゲフィチニブまたはエルロチニブに勝る結果となりました。

オシメルチニブ(商品名タグリッソ®)は日本では2017年11月27日に、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を予定の効能・効果として、承認事項一部変更承認を申請されました。将来承認されればこの研究のような状況での選択肢に加わる可能性があります。

状況に応じて効果や副作用を予想する際には、研究で示された実際の結果を参考にすることができます。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Osimertinib in Untreated EGFR-Mutated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer.

N Engl J Med. 2017 Nov 18. [Epub ahead of print]

[PMID: 29151359]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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