再発・難治の古典的ホジキンリンパ腫にキイトルーダは効く?

ホジキンリンパ腫は血液の細胞に由来するがんの一種です。治療には化学療法(抗がん剤治療)などがありますが、効果が十分に得られない場合もあります。ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ®)の効果が試されました。
3通りの経過で進行のあった古典的ホジキンリンパ腫
多国籍の研究班が、古典的ホジキンリンパ腫の患者で、以前の治療に対して効果が得にくい(難治性)または再発の結果があった人を対象に、ペムブロリズマブの効果を調べ、結果を専門誌『Journal of Clinical Oncology』に報告しました。
古典的ホジキンリンパ腫とは、ホジキンリンパ腫のうち一部の種類のものを指します。ホジキンリンパ腫にはほかに結節性
この研究の参加者は、以前の治療と経過によって選ばれ、次の3通りのいずれかに当てはまる人が対象とされました。
- 自家
造血幹細胞移植 とその後にブレンツキシマブ ベドチンを使ったが進行があった - サルベージ
化学療法 とブレンツキシマブ ベドチンを使ったが進行があった - 自家造血幹細胞移植を行いブレンツキシマブ ベドチンは使わず、進行があった
全奏効率69%
210人が対象となり、全員がペムブロリズマブによる治療を受けました。データを解析した時点で、半数の対象者が3週間ごとの治療を13回以上繰り返していました。
次の結果が得られました。
中央評価で、全奏効率は69.0%(95%信頼区間62.3%-75.2%)、完全奏効率は22.4%(95%信頼区間16.9%-28.6%)だった。
安全性のプロファイルはおおむね過去のペムブロリズマブの研究から一貫していた。
69.0%の人に、画像検査で
副作用については、過去の研究からペムブロリズマブの副作用として知られる内容とおおむね一致しました。
ホジキンリンパ腫にキイトルーダは効く?
再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対してペムブロリズマブを試した研究を紹介しました。
この研究は、ペムブロリズマブをほかの治療(有効成分のない偽薬など)と比較する方法ではないため、効果の程度を推し量るには似た状態での通常の経過を前提することになります。また、がんが小さくなる効果を調べていますが、生存期間を調べた研究ではありません。
ペムブロリズマブは日本でもほかのがんに対する治療薬としてすでに使われている薬です。2017年11月に、「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」を効能・効果に追加することが承認了承されました。今後の治療選択肢に加わる可能性があります。
薬の使い方が広がることによって、新たな選択肢を得られる人がいます。どの程度の効果を期待するかを考えるうえで、実際に試したデータが役に立つかもしれません。
執筆者
Phase II Study of the Efficacy and Safety of Pembrolizumab for Relapsed/Refractory Classic Hodgkin Lymphoma.
J Clin Oncol. 2017 Jul 1.
[PMID: 28441111]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。