ビデオを見て脳卒中リハビリが効果アップ、動作観察トレーニングとは
脳卒中の後遺症として、体の左右片側が動かしにくいなどの「片麻痺」という症状が代表的です。回復にはリハビリが欠かせません。リハビリの効果を増すいろいろな方法が研究されています。ビデオで動作を観察する方法の効果が報告されました。
脳卒中後の歩行能力に対する動作観察トレーニングの効果
韓国の研究班が、「動作観察トレーニング」の効果を検証した研究をリハビリ専門誌『Clinical Rehabilitation』に報告しました。
この研究では、脳卒中の後遺症として
対象者はランダムに、動作観察トレーニングを行うグループと、行わないグループに分けられ、それぞれリハビリテーションを行いました。
動作観察トレーニングとして、対象者はビデオで歩行訓練の様子を30分見ました。動作観察トレーニングは週に3回ずつ、4週間続けられました。
歩行能力が改善
4週間のトレーニングの結果、動作観察トレーニングなしのグループでは10分間の歩行速度が平均0.05m/秒速くなりましたが、動作観察トレーニングを行ったグループでは平均0.17m/秒速くなりました。
その他歩行速度などで評価した歩行能力も、動作観察トレーニングを行ったグループのほうが改善していました。
研究班は「脳卒中後の片麻痺がある患者の歩行機能を改善するために、市中歩行の動作観察トレーニングをうまく使える可能性がある」と結論しています。
進歩を続ける脳卒中リハビリ
高齢化にともなって、非常に多くの人が脳卒中を経験し、さまざまな後遺症と付き合いながら生活を続けています。その中でリハビリはますます大切になってきています。
リハビリの効果を上げる方法は世界中で研究されています。今回紹介した歩行訓練のほか、手の動きを観察するリハビリの研究も数多く報告されています。
工夫を重ねることで脳卒中のリハビリは進歩を続けています。ひとつひとつの効果を確かめる報告が増えていくことで、より個人に合ったリハビリを考えるための手助けになります。
執筆者
Action observation training of community ambulation for improving walking ability of patients with post-stroke hemiparesis: A randomized controlled pilot trial.
Clin Rehabil. 2016 Oct 5. [Epub ahead of print]
[PMID: 27707943]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。