2016.12.06 | ニュース

ビデオを見て脳卒中リハビリが効果アップ、動作観察トレーニングとは

25人の試験から
from Clinical rehabilitation
ビデオを見て脳卒中リハビリが効果アップ、動作観察トレーニングとはの写真
(C) bowdenimages - iStock

脳卒中の後遺症として、体の左右片側が動かしにくいなどの「片麻痺」という症状が代表的です。回復にはリハビリが欠かせません。リハビリの効果を増すいろいろな方法が研究されています。ビデオで動作を観察する方法の効果が報告されました。

韓国の研究班が、「動作観察トレーニング」の効果を検証した研究をリハビリ専門誌『Clinical Rehabilitation』に報告しました。

この研究では、脳卒中の後遺症として片麻痺の症状が残っている患者25人が対象とされました。

対象者はランダムに、動作観察トレーニングを行うグループと、行わないグループに分けられ、それぞれリハビリテーションを行いました。

動作観察トレーニングとして、対象者はビデオで歩行訓練の様子を30分見ました。動作観察トレーニングは週に3回ずつ、4週間続けられました。

 

4週間のトレーニングの結果、動作観察トレーニングなしのグループでは10分間の歩行速度が平均0.05m/秒速くなりましたが、動作観察トレーニングを行ったグループでは平均0.17m/秒速くなりました

その他歩行速度などで評価した歩行能力も、動作観察トレーニングを行ったグループのほうが改善していました。

研究班は「脳卒中後の片麻痺がある患者の歩行機能を改善するために、市中歩行の動作観察トレーニングをうまく使える可能性がある」と結論しています。

 

高齢化にともなって、非常に多くの人が脳卒中を経験し、さまざまな後遺症と付き合いながら生活を続けています。その中でリハビリはますます大切になってきています。

リハビリの効果を上げる方法は世界中で研究されています。今回紹介した歩行訓練のほか、手の動きを観察するリハビリの研究も数多く報告されています。

工夫を重ねることで脳卒中のリハビリは進歩を続けています。ひとつひとつの効果を確かめる報告が増えていくことで、より個人に合ったリハビリを考えるための手助けになります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Action observation training of community ambulation for improving walking ability of patients with post-stroke hemiparesis: A randomized controlled pilot trial.

Clin Rehabil. 2016 Oct 5. [Epub ahead of print]

[PMID: 27707943]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。