2015.09.08 | ニュース

脳卒中患者は他人の歩行を観察すると歩きが早くなる?

二重盲検無作為化比較試験で検証

from Clinical rehabilitation

脳卒中患者は他人の歩行を観察すると歩きが早くなる?の写真

脳卒中になると手足に麻痺が残り、歩くことが難しくなる場合があります。歩行トレーニングの中で、他人が歩く動画を見ることで歩行にどのような影響があるかを検証する研究が行われました。

◆脳卒中患者30人を対象に分析

この研究は、脳卒中患者30人を対象に、歩行の動画を観察する群と歩行に関係のない動画を見る群(対照群)とにランダムにわけました。両群ともトレーニングとしてトレッドミル上での歩行を30分間行いました。ビデオの観察は、トレッドミルトレーニング前に10分間行いました。両群とも4週間のトレーニングを実施し、その後の歩く速さや歩行中の膝の角度を計測しました。

 

◆歩行を観察すると歩きが速くなる?

歩行の動画を観察する群と対照群での歩く能力の比較は以下の通りでした。

対照群と比較し、歩行観察群では、timed up and go test (-4.47 vs. -2.47 秒)、10m歩行テスト (0.35 vs. 0.16 m/秒)、6分間歩行テスト (93.13 vs. 32.53 m)、歩行中の振り出し期の最大膝関節屈曲角度(7.11 vs. 4.58度)が有意に改善した(P < 0.05)。

歩行の動画を観察すると、対照群と比較し、歩く速さや、歩行中の膝の角度が改善した結果となりました。

 

上肢に関する運動を観察する効果についての報告は多くありますが、下肢についての報告は少ないです。今回の結果が確かなら、歩く練習に加え、歩行を観察することもリハビリの選択肢に加わるかもしれません。

執筆者

com

参考文献

The effects of action observational training on walking ability in chronic stroke patients: a double-blind randomized controlled trial.

Clin Rehabil. 2013 Dec

[PMID: 24089434]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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