◆脳卒中を見分ける基準を検証
ここで紹介する研究は、成人の脳卒中を見分けるために使われている2種類の基準を使ったとき、子どもでも脳卒中と似た病気を正しく見分けられるかを検証しています。
最終的に脳卒中と診断された101人の子どもにさかのぼって基準を当てはめ、また脳卒中と紛らわしい病気が見つかった279人の子どもにも基準を当てはめて診断することで、脳卒中とそうでない場合を正しく区別できるかを調べました。
検討された基準では、
- 顔の筋肉に力が入らない
- 片方の腕に力が入らない
- しゃべりにくい
などの特徴から脳卒中を見分けようとします。
◆大人の基準は子どもには当てはまらない
脳卒中と紛らわしかったうち、最終的に診断された病名として以下のものが多く起こっていました。
脳卒中と紛らわしかった例の診断として、片頭痛(84例)、最初のてんかん発作(45例)、ベル麻痺(29例)、転換性障害(18例)があった。
片頭痛、てんかん発作、ベル麻痺、転換性障害などが脳卒中と紛らわしい症状を起こしていました。
これらと脳卒中を見分けようとしたとき、検討した2種類の基準はどちらも、精度・信頼度が低いという結果でした。
研究班は「成人の脳卒中を認識するツールは子どもについてはうまく機能せず、小児脳卒中を同定する役に立つべく調節される必要がある」と結論しています。
子どもの脳卒中を見分けるのは簡単ではないという結果でしたが、紛らわしい病気のそれぞれの特徴を把握しておくことが、万一自分の子どもに似た症状が出たときに備える第一歩になるのではないでしょうか。
執筆者
Performance of bedside stroke recognition tools in discriminating childhood stroke from mimics.
Neurology. 2016 Jun 7.
[PMID: 27178704]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。