日本人の糖尿病に、1年間で毎日の薬より週1回の薬が効いた

食習慣などが原因の2型糖尿病には、血糖値を下げる治療としていろいろな種類の薬があります。毎日注射する薬と週1回注射する薬の効果を比べた研究から、週1回注射の薬で効果が高かったという結果が報告されました。
◆毎日注射するリラグルチド、週1回注射するデュラグルチド
ここで紹介する研究は、GLP1受容体作動薬という種類に分類されるリラグルチドとデュラグルチドが2型糖尿病を治療する効果を比較したものです。リラグルチドは毎日、デュラグルチドは週1回注射して使う製品になっています。
研究は日本人の2型糖尿病患者492人を対象として、52週間かけて行われました。
対象者はランダムに3グループに分けられました。
- 1日1回リラグルチドを注射するグループ
- 週1回デュラグルチドを注射するグループ
- 週1回有効成分のない偽薬を注射するグループ
治療開始から52週の時点で、リラグルチドを使ったグループと、デュラグルチドを使ったグループで治療効果を比較しました。
◆週1回デュラグルチドのほうがHbA1cが下がった
次の結果が得られました。
52週時点で、デュラグルチドはリラグルチドと比べて有意に、HbA1cをベースラインから減少させた(最小二乗平均差-0.20、95%信頼区間-0.39から-0.01、P=0.04)。
最も頻繁に報告された有害事象は鼻咽頭炎、便秘、吐き気、下痢だった。デュラグルチドで治療された患者の8人(2.9%)、リラグルチドで治療された患者の4人(2.9%)が低血糖を報告したが、いずれも深刻なものではなかった。
52週間に、週1回のデュラグルチドを使ったグループのほうが、糖尿病の検査値であるHbA1cの値がより大きく改善していました。
糖尿病の治療では、副作用として血糖値が一時的に下がりすぎてしまう低血糖に注意が必要とされます。この研究では、低血糖はデュラグルチドのグループで2.9%、リラグルチドのグループでも2.9%に起こりました。そのほかに副作用の可能性があることとして、鼻咽頭炎、便秘、吐き気、下痢などが起こりました。
糖尿病の治療は長期間にわたることが多く、繰り返し注射を打つ方法は患者の負担も大きいため、負担を減らす方法がいろいろな角度から検討されています。注射の回数が少なく済むことにも価値があるかもしれません。
執筆者
Once-weekly glucagon-like peptide-1 receptor agonist dulaglutide significantly decreases glycated haemoglobin compared with once-daily liraglutide in Japanese patients with type 2 diabetes: 52 weeks of treatment in a randomized phase III study.
Diabetes Obes Metab. 2016 Mar.
[PMID: 26661514]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。