2016.03.19 | ニュース

「健康な肥満」はある?

慢性腎臓病発症リスクを検証
from Annals of internal medicine
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肥満でも糖尿病も脂質異常症もなく肥満による健康障害もない「代謝的に健康な肥満(MHO)」という概念があります。しかし、代謝異常がなくても、肥満によるリスクは無いのでしょうか。韓国の研究チームが、肥満と腎機能との関連を調べました。

◆男女62,249人を調査

研究チームは、慢性腎臓病および蛋白尿が無い正常代謝の若年と中年の男女62,249人をBMI毎に分け、慢性腎臓病発症のリスクを調べました。

正常代謝は、インスリン抵抗性指数(適切にインスリンが働くかをみます)が2.5未満で、かつメタボリックシンドロームの条件が全く無いことと定義しました。

BMI(体重÷身長の2乗)で18.5未満を低体重、18.5~22.9を標準体重、23~24.9を過体重、25以上を肥満としました。

 

◆過体重と肥満の人は慢性腎臓病が多い

以下のような結果が得られました。

369,088人-年のフォローアップ期間で、慢性腎臓病発症例が906件同定された。標準体重と比較して、慢性腎臓病5年累積発症率の多変量補正差は1000人当たり、低体重参加者で-4.0(95%信頼区間 -7.8~-0.3)、過体重参加者で3.5(0.9~6.1)、肥満の参加者で6.7(3.0~10.4)だった。

インスリン抵抗性指数2.5 未満でメタボリックシンドロームの条件がなく代謝的に健康でも、過体重や肥満だと慢性腎臓病がより多く発症していたという結果でした。

 

日本の研究で、代謝的に健康な肥満(MHO)の慢性腎臓病のリスクは高くないという報告もありますが、MHOというようなものはない、という見方が強まっているようです。肥満はやはり気をつけた方がよいのかもしれません。

参考文献

Metabolically Healthy Obesity and Development of Chronic Kidney Disease: A Cohort Study

Ann Intern Med. 2016 Mar 1.

[PMID: 26857595]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。