呼吸が困難になる病気「COPD」に電気刺激を与えると運動能力が向上!
喫煙などが原因で起こる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺の組織が破壊され、正常に呼吸ができなくなります。肺機能が低下するため、運動能力も低下しやすくなります。神経や筋肉に電気刺激を与える治療の効果が検証されました。
◆神経や筋肉に電気刺激を与えると運動能力は改善するのか?
今回の研究は、52人の重度のCOPD患者を対象に行われました。対象者はふたつのグループに分けられました。ひとつのグループは神経や筋肉に本物の電気刺激を与えて治療を受けるグループ。そして、もうひとつのグループは偽物の電気刺激を受けました。治療は6週間の間、毎日行われました。治療を受けた後にテストを行い、運動能力に向上が見られたか検証されました。
◆運動能力が向上!
次の結果が得られました。
6分間歩行テストの結果の変化は本物の電気刺激を与えられたグループ(平均29.9 [95% 信頼区間 8.9から51.0])のほうが、偽物の電気刺激を与えられたグループより大きかった(-5.7 [-19.9から8.4]、6週間後の平均差は35.7m[95% 信頼区間 10.5から60.9];p=0.005)。
6週間後において、本物の電気刺激を受けた人は、偽物の電気刺激を受けた人より、6分間に歩ける平均距離が長くなる効果が大きく、その差は35.7mという結果でした。
筋肉や神経に電気刺激を与える治療は、COPD患者の運動能力を向上するために有効な可能性があります。重度のCOPDのため、通常のリハビリ以外の治療の選択肢として、このような研究結果は参考にされるかもしれません。
執筆者
Neuromuscular electrical stimulation to improve exercise capacity in patients with severe COPD: a randomised double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet Respir Med. 2016 Jan.
[PMID: 26701362]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。