ナチュラルで、オーガニックで、無添加だと体にいいと思いますか?
タバコの成分は銘柄によって違い、その特徴をうたった広告もあります。広告で使われる表現は、見る人にどのように受け取られているのでしょうか。アメリカで、「ナチュラルアメリカンスピリット」の広告について調査が行われました。
◆「ナチュラル」は体に良さそうに見えるか?
ナチュラルアメリカンスピリットの広告には「ナチュラル」「オーガニック」「無添加」という言葉が使われています。しかし、広告の中でも以下のように、これらの言葉は体に良いことを意味しない旨が断られています(サンタフェ ナチュラルタバコ ジャパン株式会社のウェブサイトより https://amespi.jp/)。
本広告に記載されている製品名の「LIGHT」「ULTRA LIGHT」「ORGANIC」「NATURAL」「ライト」「ウルトラ ライト」「オーガニック」「ナチュラル」並びに本製品の性質・状態及び煙中の成分の量を表す「無添加」「ADDITIVE-FREE」の表現は、本製品の健康に及ぼす悪影響が他製品と比べて小さいことを意味するものではありません。
この研究は、広告にある言葉が、見る人にどのような印象を与えているかに着目しました。
研究班は、参加者にグループで話し合ってもらうことで、ナチュラルアメリカンスピリットがほかのタバコに比べてどのように受け取られているかを調べました。
9回の話し合いが行われ、13歳から64歳の男女合計59人が参加しました。
◆害が少なそうな印象があった
話し合われた内容を調べたところ、次の結果が得られました。
多くの参加者が、アメリカンスピリットのタバコは、広告にほかのタバコよりも安全とはいえないことを明示した否認表示が入っているにもかかわらず、ほかのタバコよりも害が少ないか、その可能性があると受け取った。
何人かの喫煙者は、彼らがアメリカンスピリットを吸うのは彼らにとってほかのタバコほど害がないと思うからだと言った。
ナチュラルアメリカンスピリットがほかのタバコよりも害が少ないと感じた人も、それを理由にナチュラルアメリカンスピリットを選んで吸っている人もいました。
研究班はこの結果をもとに「これらの表現の禁止が、否認表示よりも適切な矯正法であるかもしれない」と主張しています。
喫煙習慣は健康だけを理由に決まるものではなく、こうした広告などによって作られるイメージが重要なのかもしれません。2016年2月1日には、WHOから各国政府へ、喫煙シーンのある映画にレーティングをつけることなどが勧告されました(http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2016/protect-children-from-tobacco/en/)。喫煙を減らすことは世界的な保健上の課題であり、今後こうした観点からの議論もさらに積み重なっていきそうです。
執筆者
Adolescents' and adults' perceptions of 'natural', 'organic' and 'additive-free' cigarettes, and the required disclaimers.
Tob Control. 2015 Dec 1. [Epub ahead of print]
[PMID: 26628496]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。