2016.02.02 | ニュース

乾癬には、新薬トルツ®が有効か?

2つの臨床試験の結果
from Lancet (London, England)
乾癬には、新薬トルツ®が有効か?の写真
(C) mnimage - Fotolia.com

乾癬は、皮膚から少し盛り上がった赤い発疹の上に、銀白色の皮膚の粉が付着し、ぼろぼろと剥がれ落ちる症状を起こします。今回は、日本未承認の新薬イキセキズマブに関して、2つの臨床試験で検討されました。

乾癬は、免疫の異常により自分自身の体の組織が攻撃されてしまうことで起こると考えられています。イキセキズマブ(商品名トルツ®)は異常な免疫の働きを抑えることを狙った薬です。

この研究では、イキセキズマブとエタネルセプトという薬が比較されました。エタネルセプトも異常な免疫を抑える薬で、日本では乾癬に対しては未承認ですが、関節リウマチなどの治療に使われています。

乾癬患者は、ランダムに4つのグループに分けられました。1つは偽薬を注射するグループ、1つはエタネルセプト50mgを週2回注射するグループ、1つはイキセキズマブ80mgを2週間に1回注射するグループ、1つはイキセキズマブを最初に160mg、以後は80mgを4週間ごとに注射するグループとしました。

 

臨床試験の結果は、次のようになりました。

UNCOVER-2において、イキセキズマブ2週間に1回のグループでは、PASI 75が315人で達成され、応答率89.7%[プラセボと比較した効果量87.4%97.5%信頼区間82.9-91.8;エタネルセプトと比較して48.1%(41.2-55.0)]であった。

イキセキズマブ4週間に1回のグループでは、269人で達成され(プラセボと比較して77.5%[75.1%(69.5-80.8)]、エタネルセプトと比較して35.9%(28.2-43.6)であった。

プラセボは、4人(2.4%)、エタネルセプトは149人(41.6%)であった。

UNCOVER-3では、イキセキズマブ2週間に1回のグループでは、336人で達成され(87.3%[プラセボと比較して80.0%[74.4-85.7];エタネルセプトと比較して33.9%[27.0-40.7])であった。

イキセキズマブ4週間に1回のグループでは、325人で達成され(84.2%[プラセボと比較して76.9%(71.0-82.8);エタネルセプトと比較して30.8%(23.7-37.9)]であった。

プラセボは14人(7.3%)、エタネルセプトは204人(53.4%)であった(プラセボまたはエタネルセプトとの比較ですべてp<0.0001)。

薬の注射開始から12週目、イキセキズマブ2週間に1回グループと4週間に1回グループは、偽薬やエタネルセプト注射グループに比べ、より多くの人で乾癬が改善していました。

副作用の可能性がある症状などで、イキセキズマブ2週間に1回のグループの14人、4週間に1回のグループの14人、エタネルセプトのグループの14人に、重篤な出来事が出ました。 偽薬グループでも7人に起こりました。

 

2つの臨床試験で、どちらの用量でも12週間続けると、偽薬やエタネルセプトより良い効果が出ました。乾癬の新しい有効な治療選択肢になるかもしれません。

これまで治らずに困っていた人への朗報になるかもしれません。

 

イキセキズマブを有効成分とする製剤のトルツ®は日本で2016年8月31日に薬価収載ののち発売予定です。

 

トルツ®は8月31日に予定されていた薬価収載が取り下げられ、発売は見送りとなりました。

 

トルツ®️は2016年11月に薬価収載および販売開始されました。

執筆者

後藤由佳利

参考文献

Comparison of ixekizumab with etanercept or placebo in moderate-tosevere psoriasis (UNCOVER-2 and UNCOVER-3): results from two phase 3 randomised trials.

Lancet. 2015 Aug 8.

 

[PMID: 26072109]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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